カスタム・アフターパーツ | 2021.05.16

過給エンジン必須のデバイス、インタークーラーを社外品でチューニング!デメリットを理解して出力アップを叶える方法とは?

Posted by KAKO MIRAI

ターボ車にとってインタークーラーは切っても切れない存在です。ターボチャージャー本来の効果を発揮させるために、重要な役割を果たす影の立役者といえるでしょう。言葉通りに空気を冷やすパーツですが、その構造を知ることで社外品のメリット、デメリットも良くわかるもの。過給の仕組みから有名社外メーカーまで詳しくご紹介していきます。

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過給機とは

 エンジンの仕組みは、空気と燃料でできた混合気がシリンダーの内部で爆発(燃焼)します。その熱エネルギーで、ピストンがシリンダー内を高速で往復し、運動エネルギーを発生させることで出力を生み出すというものです。

エンジンの生み出すパワーは、排気量に比例します。つまりシリンダー内の容積は、混合気の入る量といえるので、燃焼する混合気が多いほど、パワーは大きくなるのです。シリンダー内に入る混合気を何もせず導き、自然のままの大気圧で燃焼を起こすエンジンのことを自然吸気エンジン(Natural Aspiration、NA)といいます。

一方で、燃焼する混合気の量が多いほどパワーが出ることに着目したのが過給機です。これは混合気を作る空気を加圧する機械のことで、「ターボチャージャー」と「スーパーチャージャー」の2種類があります。

自然吸気と異なるのは、圧縮された混合気の気圧の密度がより高くなるという点です。排気量は同じでも、自然吸気よりも多くの混合気をシリンダーに充てんすることを可能にしています。

「ターボチャージャー」と「スーパーチャージャー」の違いは空気を加圧する動力源の違いです。「ターボチャージャー」は混合気の爆発によってできる排気ガスの流れを利用するもの。簡単に説明すると、一対の羽根車の片方が排気、反対側が吸気に設置されています。排気ガスの流れの勢いで羽根車が回ると、同時に吸気側の羽根車も回りだし空気を圧縮することができるという仕組みです。

また「スーパーチャージャー」はエンジンの出力を利用しています。混合気の爆発によって生じるピストンの上下運動が直接タイヤの回転運動には結びつきません。ピストンの往復運動を回転運動に変換する必要があります。

その役目を行うクランクシャフトやベルトなどを介して動力を得る方法がスーパーチャージャーです。同じ排気量でNAよりも高出力な過給機は魅力的なものですが、もちろんデメリットもあります。

過給機は、大量の空気と燃料を混ぜ合わせた混合気が必要です。つまりNAよりも燃料の消費が多くなり、燃費の悪化を招きます。混合気には排ガス対策と出力の兼ね合いから理想とされる「理論空燃比」という比率があり、この比率に基づいて空気と燃料の量が決まってくるのです。

「ターボチャージャー」は羽根車を回すために、強い排気ガスの流れが重要となります。そのためにはエンジンの回転数が上がらなければ、強いパワーを出すことができません。つまりアクセルを踏み始めた最初はレスポンスが悪いというターボラグが発生します。

また「スーパーチャージャー」はエンジンの出力が動力源なので、エンジンが始動すればパワーを得ることができ、低回転から過給が可能です。しかしエンジン出力を過給に使用する分、機械損失となるパワーロスが生じるため、ターボチャージャーほどのパワーを生み出すことができません。

最近よく聞く「ダウンサイジングターボ」は、エンジン自体の排気量や気筒数を減らして燃費を抑えながらターボで過給。排気量や気筒数を抑えたことで起こるパワー不足をターボで補うというメカニズムのことです。

ターボ技術が進化したことで、「ターボチャージャー」の新たな使用方法として注目されています。しかし「スーパーチャージャー」は現在のところ、限られた車にしか採用が見られなくなりました。

レスポンスや燃費を重視するならNA、ハイパワーを求めるなら「ターボチャージャー」、両者の中間的なものが「スーパーチャージャー」ということになるのかもしれません。ここではよりハイパワーを求める「ターボチャージャー」をさらに向上させる方法に迫っていきましょう。

インタークーラーの仕組み

インタークーラーは中間冷却機という意味を持ち、エンジンと「ターボチャージャー」の間に設置されているものです。過給機が吸い込み、圧縮された高温の空気を冷やす役割を担っています。

エンジンに高温の空気が送られてしまうと「ノッキング」といわれる異常燃焼を起こす可能性が高くなり、エンジン出力の低下を招くことになるでしょう。インタークーラーによって空気を冷やすことで、ターボチャージャー本来の効果を発揮することができるのです。

高温になった空気を冷却する方法には2つの方式があります。それぞれどのように空気を冷やしているのか詳しくご紹介していきましょう。

・空冷式

走行時に車が受ける風の力を利用することで、空気を冷やすという方法。ラジエーターの前に設置することが多いでしょう。構造自体がシンプルで、低コスト。また高温になるほど高い効果を得ることができるため、レーシングカーを始めチューニングカーでも採用されています。

デメリットとしてはインタークーラーの中心部に風を当てることが重要なので、設置場所が限られてくるといえるでしょう。現在では一般的になっており、空冷式を採用するメーカーが多くなっています。

・水冷式

エンジンに使用する冷却水を利用して、空気を冷やす方法です。低速域でも空気を冷やすことができる優れものです。インタークーラー本体をエンジン吸気付近に設置することが可能となり、またコンパクトに収められるという点も特徴的。

しかし冷却水以上に空気の温度を下げることが難しく、また製造コストが高額というデメリットも持っています。このデメリットには解決策もあるようです。エンジン冷却水から独立したインタークーラー専用のラジエーターを設置するという方法。ただ、パーツ点数が多くなり重量が増えるということは注意が必要です。

純正品と社外品の違い

 ターボ車に装着されている純正のインタークーラーの能力は、非常に高いものです。もちろんその車種の形状に合わせて設計された部品なので、バランスがとれていることはいうまでもありません。

ここで重要なのはバランが取れているという点です。インタークーラーには圧縮された空気を運ぶ通路が必要になりますが、その通路が細ければスムーズに空気を流すことはできません。しかし太くすると空気を冷やすことができなくなるでしょう。

大きな通路を作り空気の流れをもっと良くする場合には、大きなインタークーラーが必要になります。大型化するということは設置スペースも必要になるということ。トータルバランスで決定されている形状なので、ベストな大きさだとメーカーが判断しているといえます。

しかし社外品を使用すれば、ターボの性能をもっと引き出すことが可能になるかもしれません。インタークーラーを大型化し、その分通路を太くすることができるため、ターボエンジンの性能の向上を図ることができます。

インタークーラーの設置場所

 インタークーラーは基本的に空冷式を採用し、その配置場所として最も多いのは前置きです。空冷式は、上記のように走行風を当てることで冷却を行うため、車の中で最も風を受ける場所に設置することが望ましいといえるでしょう。

その場所というのがバンパーの後ろ当たりなのですが、ここには多くの重要パーツが集まっている場所ともいえます。ここ設置することを「前置き」といいます。さらに前置きにも2つあるのです。

一つ目はラジエーターの前に、ラジエーターと平行に設置する方法。バンパー中央開口部でエアコンコンデンサの前になります。見た目のインパクトが大きくクールな印象です。しかし配管を長くしなければいけない点がデメリットといえるかもしれません。

二つ目はラジエーターとは全く別の場所に設置する方法です。ラジエーターの下側の空間や、フェンダー横のヘッドライトの下側などが考えられます。この場合には走行風を直接受けることにはなりますが、他のパーツが邪魔をする可能性があるため、思ったほどの効果が得られないかもしれません。

前置きタイプの場合には、車両前方に重量物を設置するということもありハンドリングの低下が考えられるでしょう。

また「中置き」といわれるのは、ラジエーターやエアコンコンデンサの後ろに配置する方法です。前置きタイプよりも配管を短くすることが可能。また前置きよりは前方への重量が軽減されるため、ハンドリング性能の低下を防ぐことができるでしょう。

その他にはスバルWRX STIのように上置きになっているタイプもあります。ボンネットに大きなエアインテークを設けて空気を取り込む方法です。

またVマウントシステムという置き方もあります。これはインタークーラーと、ラジエーターを横Vの形に設置するもの。エンジン前に大きなスペースを必要とすることからも、搭載できる車種が限られています。

この方法が良く採用されるのはRX-7です。ローターリーエンジンが小型化されたフロントミッドシップならではといえるでしょう。例えば、Vマウントを搭載して真夏のサーキット走行を行っても、水温が100℃を下回るという結果が得られたという情報があります。

そして純正流用という方法もあるようです。サイズやパイプ径が同じで、容量の多い車種のインタークーラーを使用するというもの。ポン付けできることが最大のメリットといえるでしょう。

社外品に交換するメリット・デメリット

 メリットとしては、空気の流れがスムーズになり、レスポンスの向上が期待できるということに尽きるでしょう。エンジン出力の特性が大きいターボ車は、NAのようにレスポンスの良さを感じることは少ないといえるでしょう。

高品質な社外品を搭載することで冷却効果が向上すれば、NAに近いドライバビリティを体感することができるかもしれません。

社外インタークーラー有名メーカー

社外メーカーの中からピックアップしてお伝えします。インタークーラーの価格は車種によっても大きく異なるため、相場として参考にしてください。

・HKS

https://www.hks-power.co.jp

日本屈指の老舗チューニングパーツメーカ。ターボチャージャーなどの過給機、マフラーなどの製造販売を行っています。サーキットレースやドラッグレースに参戦し、活躍の場を広げてきました。

インタークーラーキットを販売しており、冷却効果のアップ、圧力損失の低下を実現。エンジン仕様に合わせたインタークーラーで、ターボ効率を最大限に引き出すことができるとしています。

トヨタ 86(ZN6)…217,800円(税込)

日産 GT-R(R35)…440,000万円 (税込)

・ブリッツ

https://www.blitz.co.jp

電子系統パーツに定評のあるブリッツは「電脳集団」と称されてきました。燃料制御コンピューターからインタークーラーなどの企画も行う日本を代表するチューニングメーカーのひとつです。

コア全体にケミカルシャフトを施した新しいインタークーラーキット販売を行っています。

BLITZ INTER COOLER CS…68,000~

BLITZ INTER COOLER SE…48,000~

・トラスト

https://www.trust-power.com

スポーツカー用マフラーで名を馳せるアフターパーツメーカー。『全日本GT選手権』、『ル・マン24時間耐久レース』、『D1GP』などさまざまなレース活動を行っており 、海外にも販路を広げていました。海外では『グレッディ』の名前を使用しています。

日産 GT-R(R35)…374,000(税込)

スバル WRX STI(EJ20)…162,800円(税込)

まとめ

冷却系パーツであるインタークーラーは、手軽にチューニングを行えることから人気のパーツでもあります。しかしエンジンに関わる重要なパーツです。何かを得るために手放さなければならないものがあるのもチューニングといえるでしょう。

デメリットを理解することで、ターボ車ならではのパワーを手にしてみるという選択肢を選んでみてはいかがでしょうか。

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