引用:日本自動車博物館

コラム | 2021.05.11

何がウケて何がウケないのか?時代の流れに翻弄され、誕生ほどなくして消えていった名車たち5選

Posted by KAKO MIRAI

世相の好みをかぎ分けるのは本当に難しいものです。メーカー各社が必死に作った車たちも、世の中に受け入れられなければ姿を消すことになってしまいます。技術者たちの思いとは裏腹に、数年で生産終了となった車の中にも、カッコよかったものは数多くあるものです。そんな愛着ある車たちをご紹介していきます。

最新売却前に見たい、編集部一押し!一括査定サイトまとめ

以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください

三菱・スタリオン

WidebodyStarion by Masty – 投稿者自身による作品. Licensed under パブリック・ドメイン via ウィキメディア・コモンズ.

1982年に発売された三菱自動車の最後のFR普通乗用車です。「ヘラクレスの愛馬、アリオンが今、星になって帰ってきたというキャッチコピーでした。これは車名の「Star(星)」とギリシャ語である「Arion(アレイオーン)」の造語で、キラキラ感がありそうです。

しかしボディデザインは、キャッチコピーとは反対に角ばった無骨さも漂うスタイリング。当時は「ガンダムチック」と呼ばれていました。アメリカ市場を視野に入れ、スラントノーズとリトラクタブルライトが採用されています。

エンジンセッティングは、アメリカを意識した低~中回転重視で、トルクフルな走行が特徴です。2.6Lのエンジンで、175PSながらトルクは314Nmを発揮していました。

海外では北米を始め、オーストラリア、ヨーロッパなどに輸出され、特にアメリカでは『ダッジ』でOEM供給されました。『プリムス・コンクエスト』、『クライスラー・コンクエスト』という名前で1984年~1989年の間に販売されています。

法改正によって仕様変更もあり、またマイナーチェンジも数多く行われてきました。フェンダーミラーで販売されたものの、ドアミラーへの法改正。その後、輸出仕様と同様のノーズの強調されたスタイルにマイナーチェンジを行います。

翌年の1984年、続く1985年にも仕様変更が行われました。プラットフォームは『ギャランΣ/エテルナΣ』を使用し、発売当初はターボモデルとキャブレター式のNAモデルのみでした。

その後国内初となる空冷式のインタークーラーターボなども加わっています。競合車種には『ポルシェ・924ターボ』をターゲットにし、サーキットで対決したテスト結果などを掲載。当時の自動車専門誌では、話題になりました。

1989年に放送されたテレビドラマ『警視庁捜査第8班「ゴリラ」』を覚えている人も多いかもしれません。『石原プロモーション』が製作し、約1年続いた伝説のドラマといえるでしょう。

『石原プロモーション』といえば、脳裏に浮かぶのはカーアクションです。このドラマの中でも派手なカーアクションがさく裂しています。そしてこのドラマで使用された車たちは、最新の三菱車でした。

渡哲也さん演じる班長の愛車は『ギャランVR-4』。そして何と言っても話題になったのは、舘ひろしさん演じるダンディな刑事が乗っていたガルウイングの『スタリオン』でした。

こんなデザインがあったのかと驚きます。

更に驚くのは、この車が販売されていたという事実です。限定車として5台製造されていました。ちょっとカッコイと思った人もいるのではないでしょうか。

1988年から販売されたモデルが、『スタリオン』の最終型となりました。北米仕様をそのまま国内で販売するという、圧倒的存在感を示します。2.6Lターボのワイドボディの豪華装備。

8年という時間を一気に駆け抜け、一世代で終了しましたが、ガンダムチックなハチマル世代は、忘れることができない車といえるでしょう。その世代に憧れる人たちからは、今なお熱い視線を受け、人気の衰えない一台となっています。

スバル・アルシオーネ

Subaru Alcyone by TTTNIS – 投稿者自身による作品. Licensed under パブリック・ドメイン via ウィキメディア・コモンズ.

1985年に誕生した『アルシオーネ』はスバルにとって初が重なる車となりました。『スバル』始まって以来となる初の海外先行車で、また長い歴史の中で唯一のリトラクタブルヘッドライトを採用した車でもあります。

『スバル』最新技術を取り入れ、何よりも斬新なデザイン性が特徴的といえるでしょう。中でもこだわったのは空力性能です。もちろん空気抵抗の低減は高速安定性や燃費などに大きく影響を及ぼします。

現在は燃費の高性能化には、最もこだわる部分といえますが、1985年当時に空力性能を訴求したメーカーは他にありません。効果は現行車と比較すると比べ物にはならないかもしれませんが、国内メーカーのカタログにCD値の記載が始まったのは、『アルシオーネ』からでした。

CD値は空気抵抗係数のことで、車を走行させる際には必ず生じるものです。走行スピードによっても状態は変わるため、速度が速くなればCD値は増え、速度が遅ければCD値は低くなります。

CD値は空気の流れの剥離によるものであり、車体形状でも大きく異なるものです。例えば、CD値が低い車の形状はクーペになります。その次にセダン、ハッチバックと続きます。その中で『アルシオーネ』はCD値を考え、フロント、リア共に傾斜角を28度に揃えることに成功。

大きく貢献したのはデザインです。リトラクタブルライトを採用し、ウエッジシェイプのくさび形といわれるボディ形状で、CD値0.30の壁を打ち破り0.29を達成しています。しかしこのデザインが賛否両論、好みの分かれることとなったのも事実です。

SF映画に登場しそうな宇宙の乗り物といわれることもありましたが、そのゆえんは名前にあります。アメリカでの車名は「XTクーペ」でしたが、「プレシアス星団(和名すばる)」の中で一番明るい恒星「アルキオネ」を由来とし『アルシオーネ』となりました。

インテリアを見ると、ステアリングは左右非対称のL字型スポークステアリングを採用。ステアリングの左右には「コントロールウイング」といわれるスイッチ類が並びます。またシフトレバーには、ピストルを握る部分を逆さまにしたように見えるガングリップ。

今までにない独創感をちりばめたような内容に仕上がっており、男性の遊び心をくすぐるようなデザインといえそうです。エンジンフィールは2.7Lの水平対向6気筒を搭載し、NAで150psを発揮していました。

しかし1991年に3.3Lの水平対向6気筒エンジンを積む、『アルシオーネSVX』が登場したことでその役目を果たしました。国内での評価は低いものの、北米ではトム・ハンクスが主演を務めた映画『BIG』に使用された経緯もあり、人気が高かったようです。

アメリカで『スバル』の名前を広めるための車としては、十分な役目を果たしたということができるのではないでしょうか。

マツダ・ユーノス コスモ

『ユーノスロードスター』の大ヒットを受け、バブル経済真只中の1990年に登場した車といえば『ユーノス コスモ』を思い出す人も多いかもしれません。何といっても20Bエンジンは忘れることができないエンジンです。

世界初となる3ローターのロータリーエンジンはシーケンシャルターボを搭載したモンスターマシンといえるでしょう。最高出力は280psに抑えられてはいましたが、当時の設計で行けば333psにはなっていたといわれます。

スポーツモデルであるにもかかわらず、高い性能に組み合わされたトランスミッションは、全グレードとも4速AT。当時20Bエンジンの出力に耐えることができるクラッチが、開発されていませんでした。

ロングノーズのショートデッキは伝統的な2ドアクーペスタイルで、非常に美しいデザインでした。インテリア装備には、これまた世界初となるGPSナビゲーションが搭載されています。

本革シートに採用されていたのはオーストラリアの『シュミットフェルトバッハ』製。子羊10頭を惜しげもなく使用されました。またウッドパネルはイタリア製、グレードによりますが、タッチパネルも採用され、現在のマルチインフォメーション・ディスプレイの先駆けといえそうです。

これだけ豪華な装備を兼ね備えていれば当然のことかもしれませんが、高価格となっており、手が届くような代物ではありませんでした。当時の新車価格で383~585万円となっています。

そして最大のネックとなったのは燃費の悪さです。カタログ値6.1㎞/Lとなっていますが、実際には2㎞/L前後となることが多かったようです。バブルの時代、利益最優先というよりはブランド価値を高めることを優先したと考えられます。

とはいえ、これはやりすぎだったといわれても、仕方ないのかもしれません。しかし今見ても衰えない内外装の美しさは、惜しいとしか言いようがないのも事実です。車好きなら、かすかにでも憧れはあるのではないでしょうか。3ローターのロータリーエンジンに。

トヨタ・セラ

日本自動車博物館

『トヨタ』からこのような車が出てくるとは誰も思わなかったかもしれません。航空機の操縦席を思わせるような一面ガラスで覆われた運転席は、「グラッシーキャビン」と呼ばれました。

そのキャビンを実現させるために採用されたのが、量産車初となったガルウイングのドアです。幼いころにスーパーカーに憧れた世代には、信じられないことだったのではないでしょうか。

ガルウイングはスーパーカーの証だと思っていたのに、まさか『スターレット』がプラットフォームの『セラ』につけてしまうとは、愕然としたかもしれません。すぐ手が届くところにあったのに、いざ販売してみると女性オーナーが多かったという意外な結果になります。

『トヨタ』がターゲットにしていたのは、若年層のユーザーでした。1983年から立ち上げたプロジェクトがようやく実を結んだ車が『セラ』だったのです。搭載されたエンジンは1.5LのNA4気筒で、最高出力110psと当然ながら普通車の域を出ません。

トランスミッションは5MTと4ATから選択。価格も160万円と手ごろだったにもかかわらず、年々販売台数は減少の一途をたどりました。バブル景気に踊らされたという見方もあるようです。

しかし、当時の若い男性の心をつかむには、パワーが足りなかったといえるのではないでしょうか。当時の世代は、ビンテージイヤーと呼ばれるスポーツカー天国の時代です。パワー重視の燃費度外視世代にとって、響く車ではなかったといえるのかもしれません。

どんな評価を下されようとも、技術者たちの熱い思いはそこにあります。「グラッシーキャビン」と「バタフライドア」を加えた、今までにない車を作り出す。そこには途方もない苦労があったでしょう。

一台の開発が次につながる、『セラ』の開発技術は、どこかで必ず活かされているのではないでしょうか。

 

三菱・FTO

Art Konovalov / Shutterstock.com

『三菱』のフラッグシップとして誕生した『GTO』の弟として1994年に誕生しています。1970年代にホットモデルだった『ギャランクーペ FTO』を継承したスタイルは、2ドアクーペです。

また『スタリオン』の特徴のひとつであったガンダムチックなスタイルに別れを告げ、丸みを帯びた曲線を主体にしたデザインに一新されています。時代背景としては、バブル経済が崩壊し、ハイパワースポーツカーが必要とされなくなってきたころにあたります。

時代は省燃費性能へと移り変わろうという過渡期であり、『トヨタ』から『プリウス』が誕生した年でした。そこで『三菱』が提案したのはライトウェイトスポーツカーの『FTO』です。

全長が1735mmあったため、3ナンバーではありましたが、ショート&ワイドボディで約1100㎏と軽量な点が魅力のひとつでした。またAT車には日本で初となる「INVECS-Ⅱ」を採用します。

これは「スポーツモード」と呼ばれており、マニュアルモードの設定を施したものです。発売当初は4速でしたが、マイナーチェンジ後は5速に変更されています。このクラスの他社メーカーでは圧倒的にMT仕様が多くなっていました。

しかし「スポーツモード」仕様を搭載していることから、AT車の比率が高いモデルとなっています。スポーツ走行性能の高さを活かし「全日本GT選手権(JGTC)」にも参戦しています。

ライバル車には『ポルシェ・996 GT3R』や『マツダ・RX-7』などが名前を連ねる中、2シーズンを通し入賞を果たす実力がありました。FF車でありながら旋回性能が高く評価され、パワーもある車だったということができるでしょう。

2000年になり側面衝突安全基準を満たすことができず、採算の面から『GTO』と共に兄弟で生産を終了することになりました。現行車である『トヨタ・FT86』のサーキット走行ラップタイムは1分10秒に対し、『FTO』は1分11秒台。昔の車と呼ぶには惜しい車です。

まとめ

万人に受ける車を作ることは不可能なのかもしれません。いまさらながらに昔の車を振り返ると、そこにはどんな車にもこだわって作られた「何か」を感じるものです。それを考えると、どの車も捨てがたい思い入れがあります。

古き良き時代だったのかもしれません。しかし現代に残っていれば、一度はその運転席に座ってみたい、そんな名車たちをお届けしました。

↓合わせて読みたい↓

90年代に隆盛したドレスアップやVIP系カスタムのベースになった国産セダン7選

乗りにくさも車の醍醐味⁉ 憧れのMRレイアウト国産車5選

280馬力規制とは?当時の規制下に発売された人気モデル9選

愛車の下取り、売却で損をしないためには?

買い替えの場合、ディーラーにそのまま下取りに出してしまうと数十万の差がつくこともあります。

直接買取店へ持ち込まれる場合も1店舗だけの査定だと適切な金額でない可能性があります、なぜなら買取は店舗によっての需要や、オートオークションの相場などの状況で金額が大きく変わるからです。

下取りに出す前に、お車の買取相場と最高買取額をナビクルで調べてからから交渉することが、 愛車の売却や、中古車購入で損をしないための近道です。

ナビクルなら買取相場や
複数社の査定額が
一目でわかる!

  • 172万
  • 130万
  • 112万
  • 97万
  • 121万
  • 99万

たった一度依頼を出すだけで、複数の中古車買取店へ査定依頼が可能。
ナビクルは超優良の買取業者のみと提携、業者同士が競争しながら査定するので、一番高い査定額がわかります。

優良店のみ一括査定サイトの「400万件以上の実績!」のナビクルをオススメしています。 ほんの45秒の行動が、将来失うことになるかもしれなかった「車の価値」を守ることになるかもしれません。

通常の査定と比べ20~80万高く売れる可能性があります。 さらには申し込み後、相場額実際の取引額に基づいて算出した概算価格も、24時間いつでもスグにWeb上で確認できます。

400万件以上の実績!
優良買取店のみ
全国のリアルタイムの査定相場を配信中!
400万件以上の実績!まずは愛車の
査定相場を見る
11月21日 18:30:16現在の
全国のリアルタイムの査定相場を配信中!

買取の査定事例

  • 2019/10に査定

    ランドクルーザープラド TX Lパッケージ

    3,998,500
    2015年(H27)41千km

  • 2019/10に査定

    WRX STI STI タイプS

    3,814,800
    2015年(H27)32千km

毎日500台入荷する非公開車、見ませんか?

たとえば、特定の車種や、モデル、また、将来的なモデルチェンジや型落ちの可能性、年間20万台以上を買い取るガリバーしか知らない最新の再販、リセールバリューの動向情報も無料で相談、提供可能です。

ガリバーの「中古車ご提案サービス」は市場に出る前の70%の「非公開車両」から中古車の提案があり探す幅が大きく広がる中古車探しの際は最もおすすめするサービス。

ネット、市場に出ていない車や絶版車、マニアック車などの希少価値の高い車、一般にはまだ出回っていない車を探せます。
ネットなどで欲しい車を探し、実際の相談、購入は「中古車ご提案サービス」で非公開車両から吟味するという中古車探しが賢く中古車を選ぶ最良の手段とも言えます。

サービスは10年保証+返品OK 最短で即日で連絡、専任の担当者付き。 「今は買うか分からない」でももちろん歓迎してくれます、思っていたより思わぬ掘り出し物に出会えるかもしれません。

市場に出る前の
非公開車両を見る