旧車・絶版車購入ガイド | 2021.05.11
ハイソカー路線から一転、いまだ色褪せないスポーツセダンの代表格 トヨタ「チェイサー」
Posted by 菅野 直人
1980年代から1990年代初頭にかけての「ハイソカーブーム」を乗り切ったトヨタ「マークII」3兄弟の次男「チェイサー」。 長男マークIIや三男「クレスタ」より若者向けの廉価グレードの設定や、スポーティイメージという特徴があり、明確に走りを意識した最終モデルはレースでも活躍するなどスポーツセダンとしての印象を残し消えていきました。 2001年に販売終了してから20年近く経ちましたが、2020年4月現在は中古車市場でどのような評価を受けているでしょうか?
以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください
SUMMARY
トヨタ「チェイサー」とは
1977年、アッパーミドルセダン「マークII」の兄弟車として登場した「チェイサー」は、マークIIが販売されていたトヨペット店より若いユーザー層をターゲットとしていたトヨタオート店(現在のネッツ店)で販売されるため、富裕者層向け大排気量モデルやバンなど商用仕様を設定せず、後々まで1.8リッター直列4気筒エンジン搭載車など廉価グレードを設定していたのが特徴でした。
2代目(1980年発売)の時代に「クレスタ」がデビューして形成された「マークII」3兄弟の一員としてハイソカーブームを駆け抜け、人気モデルの1台として代を重ねていきますが、バブル景気の終わった頃にデビューした5代目(1992年発売)の頃になるとRVブームへ押されて4ドアセダンの販売は低迷していったのは、チェイサーも例外ではありません。
そこでトヨタは従来型保守層向けマークII、ラグジュアリー性を求めるユーザー向けクレスタという風にマークII3兄弟それぞれのキャラクターを鮮明にしてテコ入れし、チェイサーはスポーツセダン路線に位置づけました。
引き続き1.8リッター直列4気筒エンジンの廉価グレードを設定したり、後席のヒップポイントをマークIIより高く取るなどしたほか、前後オーバーハングを切り詰めヘッドライト周囲のブラックアウト化などでスポーツセダンらしい軽快感と迫力を出し、JTCC(全日本ツーリングカー選手権)へも出場してスポーティイメージを持たせました。
結局は2001年10月で販売終了、マークIIをベースとしたスポーツセダン後継ではビスタ店扱いの「ヴェロッサ」、ネッツ店扱いのスポーツセダンとしては「アルテッツァ」が後継となりましたが、パワフルかつアグレッシブデザインの本格スポーツセダンとしてのチェイサーは後々まで強い印象を残しています。
トヨタ「チェイサー」の中古車相場
大手中古車検索サイトによると2020年3月現在、チェイサーの中古車相場は以下の通りです。
【初代X30/40系(1977-1980)】
(4ドアセダン)50万円:1台
(2ドアハードトップ)流通なし
【2代目X60系(1980-1984)】
(4ドアセダン)流通なし
(4ドアハードトップ)流通なし
【3代目X70系(1984-1988)】※この代より4ドアハードトップのみ
(MT車)120万円~187万円:4台・ASK(価格応談):2台
(AT車)85万円~97.9万円:3台・ASK:1台
【4代目X80系(1988-1992)】
(MT車)83万円~110万円:2台
(AT車)38.9万円~99.8万円:5台
【5代目X90系(1992-1996)】
(アバンテその他MT車)流通なし
(アバンテその他AT車)26万円~69.9万円:4台
(ツアラー系MT車)68万円~159万円:3台
(ツアラー系AT車)68万円~138万円:4台
【6代目X100系(1996-2001)】
(アバンテその他MT車)流通なし
(アバンテその他AT車)17万円~109.9万円:20台・ASK:1台
(ツアラー系およびTRDスポーツMT車)28万円~329万円:153台・ASK:2台
(ツアラー系AT車)22万円~210万円:49台
最終的にスポーティイメージの強かったチェイサーらしく、流通している中古車の多くはMT車で、廉価グレードやディーゼルエンジン搭載車などはほとんど流通しておらず、直列6気筒ガソリンエンジンの自然吸気、またはターボがほとんどで、中でも最多を占めるのが直列6気筒ガソリンターボエンジン「1JZ-GTE」を搭載する最終型のツアラーVです。
4代目以前はハイソカーブームの流れを引くフルノーマル車が多いのですが、5代目以降は一転してフルエアロ、ローダウン、ターボチューンといった走り屋チックなカスタムカーが増えており、後世に残るチェイサーの印象をさらにスポーティにしています。
トヨタ「チェイサー」のオススメはハイソカー系なら3~4代目、走り系なら6代目ツアラーV
それなりに歴史ある車ですから歴代チェイサーでも当時の流行りをどこまで追うかがオススメの分かれ道となりますが、1980年代はじめからバブル時代までのハイソカーブームを現代でも味わいたいなら2代目~4代目、なるべく新しくという意味では4代目をオススメしたいところです。
この時代にもターボエンジン搭載のGT系グレードはありましたが、当時の2.0リッターターボエンジン「1G-GTE」など185馬力でしかありませんし、4代目後期の2.5リッターターボエンジン1JZ-GTE以外に動力性能を求めると肩透かしにあいます。
やはりスポーツセダン系で狙い目となるのは、2020年現在においてもドリフト競技では第一線級の実力を持つ6代目と7代目の「ツアラーV」で、走り系を求めるユーザーなら現在乗ってもパワフルな走りを楽しめるでしょう。
トヨタ「チェイサー」の中古車選びの注意点
フルノーマルのハイソカーが多い2~4代目を選ぶ場合、見た目はともかくとしてまだ喫煙者が多い時代の車ですから、非喫煙者の方は乗ってみて喫煙車の残りが強くないかを確認するべきで、喫煙者では気づかないような臭いや成分が気になるようなら避けましょう。
走り系の5~6代目の場合は何らかのカスタマイズを受けていることが多いので、まずはエンジンから車内電装品まで正常に動作するか、フェンダーとドアのすき間を左右見比べて歪みがないかなどを確認し、カスタマイズされた部分で故障したら代替の効かないパーツなどがないかもチェックしておかないと、後々修理代が高くつきます。
トヨタ「チェイサー」の中古車維持費目安
1980年代までの車である4代目以前は既にヒストリックカーの域に近いネオ・ヒストリックカーですから、維持費には後々のレストア費用まで考慮した特殊な予算を組む必要が出てきますが、1990年代以降の5代目、6代目は中古部品やリビルト品も含めればまだ部品が出る方ですから、出費は故障や整備の際に都度考える程度でよいでしょう。
それを踏まえて、全てが新規登録から13年以上で重加算税対象となる自動車税が1.8リッター車や2.0リッター車なら総排気量1.5リッター超2.0リッター以下で45,400円、2.5リッター車なら総排気量2.0リッター超2.5リッター以下で51,700円となります。
エコカー普及前のアッパーミドルセダンですから、ターボ車でなくとも2020年代の基準では燃費が良いとは言えず、期待できる実燃費は各年式・グレード平均して最良でも8km/L前後となり、2020年3月現在のハイオクガソリン平均価格が約150円程度として、仮に月1,000km走るなら月19,000円程度のガソリン代がかかり、年間のガソリン代が約23万円に自動車税を合わせ、約28万円程度がチェイサーにおける最低年間維持費の目安となりそうです。
最後の6代目ツアラーVを除き人気車種ではないため盗難リスクはそれほどではありませんが、それでも程度やカスタマイズによってはセキュリティや車両保険には相応の気を使いつつ、その他ユーザーの環境次第で変わってくる購入後の駐車場代やタイヤ代、車検代や整備代、任意保険代などは各自計算してみてください。