旧車・絶版車購入ガイド | 2021.05.11
今でも色あせないトヨタを代表する高級車「3代目セルシオ」購入のポイントとは?
Posted by 菅野 直人
世界を震撼させた高級車レクサス「LS」、日本では3代目までトヨタ「セルシオ」の名で販売されていました。4代目以降は日本でもLSとして販売されるも、日本ではすっかり “トヨタの最上級=セルシオ” が定着していたので、LS販売後もセルシオを望むユーザーが数多くいました。そんな最後のセルシオである3代目購入についてのポイントはどこでしょうか?
以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください
3代目トヨタ「セルシオ」とは
1989年に北米ではレクサス「LS」として、日本ではトヨタ「セルシオ」として初代モデルが販売されました。それまでの権威主義的な世界の高級車観を変革するとともに、日本でも「センチュリー」ほど特殊ではなく「クラウン」よりはるかに高品質な高級車として2代にわたりヒットを記録し、すっかり日本を代表する高級車として市場に定着していました。
トヨタは日本でなかなかレクサスブランドを展開しなかったため、3代目レクサスLSも日本では3代目セルシオとなって2000年8月にモデルチェンジしました。2代目までの直線的なデザインにプラスして重厚感は残しつつ、曲面を多用したボリューム感あるボディデザインで引き続き好評となりました。
全高が55mm、ホイールベースが75mm延長されて主に後席の居住性を充実させたほか、まだ国産車の馬力自主規制時代だったため最高出力こそ280馬力止まりだったものの、エンジンは4.0リッターから4.3リッターへと排気量が拡大されました。
2003年8月のマイナーチェンジでは全車6速AT化されるとともにデザイン変更でついに全長は5mを超え、フルサイズセダンと呼ばれるサイズまで成長しました。
2005年からはついに日本でもレクサスブランドが展開開始、当初3代目セルシオはそのまま継続販売されたものの、4代目へモデルチェンジした2006年5月でLSへと改名してデビュー。本来あるべき姿ではありましたが、日本市場で高級車の代名詞として定着していたセルシオの名が消えることを惜しむ声もありました。
その後トヨタの(センチュリーを除く)最高級車は「クラウンマジェスタ」へ、そしてクラウンへと戻っていきますが、レクサス車との兼ね合いもあって、かつてのセルシオほどの高級セダンがトヨタブランドで登場することはなくなりました。そのためかセルシオ人気は今でも根強く、中古車市場でも販売終了から15年近い車ながら、状態のよいものは300万円近い価格で販売され、タマ数も豊富です。
3代目セルシオの中古車相場
大手中古車検索サイトによる2019年12月現在の、3代目セルシオの中古車相場は以下の通りです。
A仕様通常版・販売期間2000年8月~2006年5月
23万円~129万円:28台
(新車価格:540万円~593.25万円)
B仕様通常版・販売期間2000年8月~2003年8月
25万円~68万円:5台
(新車価格:590万円~595万円)
A仕様およびB仕様eRバージョン各型・販売期間2000年8月~2003年8月
14万円~240万円:43台
(新車価格:565万円~660万円)
eR仕様・販売期間2003年8月~2006年5月
19.8万円~298万円:90台
(新車価格:620万円~651万円)
【C仕様各型・販売期間2000年8月~2006年5月】
9.8万円~267万円:243台
(新車価格:615万円~787.5万円)
それぞれのグレードの簡単な説明は以下。
A仕様 | コイルサスの標準仕様 |
B仕様 | コイルサスの上級仕様 |
A仕様とB仕様のeRパッケージ | ユーロチューンドサスペンションや17インチホイールなど装備 |
eR仕様 | ユーロチューンドサスペンションにスーパークロームメタリック18インチホイールなどを装備したスポーティ版 |
C仕様 | エアサスで装備はB仕様とほぼ同等 |
C仕様Fパッケージ | C仕様の後席にパワー&バイブレーター機能付きリヤシートなど充実 |
C仕様インテリアセレクション | セミアニリンレザーが車内に多用された仕様 |
C仕様Fパッケージインテリアセレクション | Fパッケージのインテリアセレクション仕様 |
B仕様eRパッケージプレミアム/C仕様プレミアム | 6コート塗装カラーや専用ホイール、サンバースト加工の本木目インテリアなど内外装を充実し、マークレビンソンサウンドシテムなどを装備 |
3代目セルシオのオススメグレードはスポーティな後期eR仕様
2代目から排気量が拡大され最大トルクが向上した3代目セルシオですが、2003年8月にマイナーチェンジを受けて以降の後期型では、トランスミッションが5速ATからマニュアルモード付き6速ATへ更新されており、操作性および緻密な制御による走行性能向上や燃費向上などが図られました。
新車販売当時のようにラグジュアリー性をメインとした法人ユーザーはともかく、今後3代目セルシオを購入するユーザーのように個人でスポーティな走りからゆとりある高速巡航まで楽しみたいユーザーには、後期eR仕様がうってつけでタマ数も比較的豊富なため選択肢も多く、程度のよい中古車はもっとも高価で販売されているほどです。
初代や2代目ではその古さゆえ耐久性に不安のあるエアサスのC仕様も、3代目では比較的新しいため選択肢に入れていいモデルでタマ数が多く、車内の上質感を高めたタイプも販売されていることから、ラグジュアリー性を求めるユーザー向きといえるでしょう。
3代目セルシオの中古車選びの注意点
初期型は生産から20年近く経っているとはいえ、最終型では13年程度しか経っておらず比較的新しいのでまだメカニズム面や純正部品の供給で頭を悩ませるほどではなく、仮に欠品があってもリビルト品や中古部品に期待が持てます。
そのため主な注意点は内外装の経年劣化や保管状況に応じたヤレや、修復歴の有無、修復されている場合は溶接剥がれでサビが出るような修理になっていないか、塗装の段差や目立つボディパネルの歪みはないか、という点が中心になります。
その他、弱点としてはエンジンのO2センサー不良によるエンジンチェックランプ点灯、ドアミラーの故障による電動格納不可、トランクダンパーのヘタりなどがあり、静粛性の高さゆえか通常の車ではあまり気にならないレベルでもキシミ音など異音が気になるようなので、これらは購入前の動作確認や試乗で確認するようにしましょう。
3代目セルシオの中古車の維持費目安
前項で書いた弱点の故障さえなければ高品質がウリのトヨタ車ですから、定期的なメンテナンスを怠らない限りは「突然発生する維持費」がそうそう生じることはありません。
とはいえ販売終了から新しくとも13年経過していますから、自動車税は13年超の重加算税となり、3代目セルシオは4.3リッター(4,292cc)エンジンのため総排気量4.0リッター超4.5リッター以下の区分で自動車税は87,900円です。実燃費は6km/L程度なので、2019年12月現在のハイオクガソリン平均価格が約155円程度として、仮に月1,000km走るならば月26,000円程度のガソリン代がかかり、年間のガソリン代が約31万円に自動車税87,900円を合わせ、最低40万円程度が最低年間維持費の目安でしょう。
もともと頑丈で耐久性も信頼性も高い車なので、動力性能の余裕や静粛性から長距離ドライブで使うユーザーも多いと思われますが、その場合はガソリン代をもっと高めに考えておく必要があるかもしれません。また、実質的にレクサス車ということで今でも盗難率の高い車ですから、セキュリティや車両保険への加入もしっかり抑えておきたいところで、「かつての高級車が安い」とはいえ、維持費まで安くなるわけではないことに注意が必要です。
その他、ユーザーの環境次第で変わってくる購入後の駐車場代やタイヤ代、車検代や整備代、任意保険代などは各自計算してみてください。