買取相場 | 2021.05.11
中国で“もっとも売れている日本車"!?日産シルフィの国内買取市場での評価は?
Posted by 菅野 直人
日産に残された最後の小型セダン「シルフィ」。かつての名車である「ブルーバード」や「サニー」の歴史がしっかりと受け継がれており、日本ではともかく巨大な中国市場においても“もっとも売れている日本車”と評価される人気車種です。そんな日産の良心とも言うべきシルフィは、日本の買取市場でどのような評価を受けているのでしょうか?
以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください
SUMMARY
シルフィの中古市場での人気について
もともとは日産の1.5~2リッター級ミドルクラスセダンだったブルーバードの後継車「ブルーバード シルフィ」として登場。3代目へのモデルチェンジにあたって日本市場で既に廃止されていたサニーの海外仕様を転用、シルフィとして2012年12月に再出発しました。
北米などでは「セントラ」、中国では日本と同名のシルフィとして販売されており、特に中国では日本車の中でもトップクラスの販売台数を誇る大人気ベストセラーモデルとなっています。日本市場では発売直後こそ新車効果で多少売れたものの、年間販売台数が1万台を超えたのは2013年のみでそれ以降は振るわず、2018年の年間販売台数はわずか2,255台と、国産小型ハッチバック/セダンの中では最下位に甘んじているのが現状です。
コンパクトとはいえ5ナンバーサイズでもなく、エンジンやミッションも必要十分レベルの実用性重視型。発売以来7年にわたって内外装をやや充実した特別仕様車の追加程度で、衝突被害軽減ブレーキなど先進の予防安全装備を追加するなどの積極的なテコ入れが行われていないため、現在の日産が抱える“長期間放置してしまった車”の1台に数えられています。
それでも、販売台数の割には中古車市場でのタマ数や価格はそれなりに安定中。積極的な選択肢というよりは、どうしても高年式で走行距離も少ない小型セダンの日産車に乗りたいヘヴィユーザー唯一の選択肢として、静かな支持を集めていると言ったところでしょうか。
買取査定額が期待できるシルフィのグレード
シルフィのグレード構成は基本的に3つ。ベースグレードとなる「S」と本革巻きステアリングや盗難防止用イモビライザーなどを装備した標準版「X」、プロジェクターランプやキセノンヘッドランプ、16インチホイールで外装や装備を充実し、ウッドパネルなど豪華内装が与えられた豪華版「G」、そこに特別仕様車「Gルグラン」と「Sツーリング」が2015年以降にラインアップされています。
中古車販売価格は比較的安定しているシルフィですが、後述するように買取査定額に関してはまったく期待できず、どのグレードでも買取査定額が高額となるモノは存在しません。単純に査定を受ける時点でのコンでションや走行距離、装備で決まると考えた方がよさそうです。
買取査定額が期待できるシルフィのカラー
買取査定の上位は一応白や黒系のボディカラーですが、グレード同様にそもそも買取査定額が高額となる事例自体が希有なため、どのボディカラーがとりわけ高額になるということはありません。
2年落ちシルフィの目安査定額
2年落ち2017年式シルフィは、2015年1月に最上級グレードGをベースに専用16インチアルミホイールや本革シートなどで内外装を充実させた最上級特別仕様車Gルグランと、同8月にSベースでエアロパーツなどを装着し精悍な印象を持たせたスポーティな特別仕様車Sツーリングを設定して以降、特に変化はナシ。オプション込みでおおよその新車価格と2019年12月現在での平均買取相場は以下となります。
●S:新車219万円/買取実績なし
●X:新車238万円/買取価格46万円程度
●Sツーリング:新車271万円/買取実績なし
●G:新車271万円/買取実績なし
●Gルグラン:新車294万円/買取実績なし
4年落ちシルフィの目安査定額
4年落ち2015年式シルフィは2017年式同様、2015年に2種の特別仕様車が追加されたほかは価格改定程度で発売時からの変更は特にありません。オプション込みでおおよその新車価格と、2019年12月現在での平均買取相場は下記の通りです。
●S:新車219万円/買取実績なし
●X:新車238万円/買取価格37万円程度
●Sツーリング:新車271万円/買取実績なし
●G:新車271万円/買取価格57万円程度
●Gルグラン:新車294万円/買取実績なし
6年落ちシルフィの目安査定額
6年落ち2013年式シルフィは2012年12月に発売された初期のモデルで、2015年に追加される2種の特別仕様車がまだ存在しないことや、価格が若干改訂されていることをのぞけば、現在までまったく変わらず販売されています。オプション込みでおおよその新車価格と、2019年12月現在での平均買取相場は以下。
●S:新車213万円/買取実績なし
●X:新車231万円/買取価格19万円程度
●G:新車263万円/買取価格27万円程度
事故車・修復歴ありのシルフィの場合は?
シルフィは事故車買取でも実績が少なく、ご紹介できる事例もないのですが、相場としてはおおむね10~21万円あたりと、通常の3~5割程度になると思われます。
シルフィの残価率・リセールバリューは?
セダン不振が極まる中で人気車種でもなく、基本的に発売初期でも現在の新車でも新装備追加などテコ入れもなされず販売されていることもあり、残価率が比較的新しい車でも非常に低く、初期モデルではさらに低くなる、というリセールバリューがまったく期待できない車です。
まだ初回車検前の2年落ち2017年式ですら平均残価率19%、平均買取価格46万円、4年落ち2015年式でも平均残価率16~21%(全グレード平均18%)、平均買取価格37~57万円(同、47万円)。これが6年落ち2013年式ともなれば平均残価率8~10%(全グレード平均9%)、平均買取価格19~27万円(同、23万円)と、かろうじて値段がつくという状態。
シルフィが発売された2012年12月時点で既に世はミニバン、SUV、トールワゴン全盛期。セダンは不振を極めて一部をのぞけばまったく売れない時代になっていましたから、現在所有しているユーザーのほとんどは、最初からリセールバリューについて期待していなかったと思います。
現状でもセダン人気が回復することはなく、さらに衝突被害軽減ブレーキなど予防安全装備を欠いたままで、スポーティな走りといった趣味性にも乏しいシルフィの価値が上がることは今後も考えにくいです。そのため、買い替えを検討しているユーザーは早めに見切りをつけ、そうでないユーザーはリセールバリューを気にせず、アシとして乗り潰すくらいの気持ちでいるのがいいでしょう。