買取相場 | 2023.06.29
元祖国産スポーツカー、日産フェアレディZは買取市場ではどんな評価をされている?
Posted by 菅野 直人
国産スポーツカーの元祖であり、現在でも販売されている国産スポーツカーの中でもっとも古い車名と歴史と伝統を誇り、いまなお世界中のファンから愛されている“ズィーカー”こと「日産・フェアレディZ」。量販車ではないため歴代モデルともモデルライフが長い傾向にありますが、それだけに古さを感じさせず新鮮さを保った味わいがあります。買取市場ではどのような評価を受けているでしょうか?
以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください
SUMMARY
- フェアレディZの中古市場での人気について
- 買取査定額が期待できるフェアレディZのグレード
- 買取査定額が期待できるフェアレディZのカラー
- 2年落ちフェアレディZ(2021年式)の目安査定額
- 3年落ちフェアレディZ(2020年式)の目安査定額
- 5年落ちフェアレディZ(2018年式)の目安査定額
- 6年落ちフェアレディZ(2017年式)の目安査定額
- 9年落ちフェアレディZ(2014年式)の目安査定額
- 10年落ちフェアレディZ(2013年式)の目安査定額
- 14年落ちフェアレディZ(2009年式)の目安査定額
- フェアレディZを高く売るためのポイント
- フェアレディZの走行距離による値動きの変化
- 事故車・修復歴ありのフェアレディZの場合は?
- フェアレディZの残価率・リセールバリューは?
- フェアレディZを売るのにベストなタイミングは?
フェアレディZの中古市場での人気について
初代S30型フェアレディZが登場したのは1969年。1950年代から日産がチャレンジを続けていた「ダットサン・スポーツ」や「ダットサン・フェアレディ」といったヨーロピアン風オープンスポーツカーの後継として、主戦場と見定めた北米で求められるすべてを盛り込んだ上で高コストパフォーマンス、というコンセプトが的中して爆発的ヒットとなった、記念すべき2ドアハッチバッククーペでした。
それ以来、2代目S130型、3代目Z31型と人気は続いたものの、日本の国際貿易環境の変化や輸出先の景気動向により高級ラグジュアリークーペ化した4代目Z32型は低迷。日産自身の経営悪化も相まって、一時は半ば放置に近いままモデル廃止すら検討されるほどに。が、ルノー傘下に入った再建体制下で5代目Z33型が見事に復活し、2019年10月現在では2008年に登場した6代目Z34型が販売されています。
とはいえ、現行のZ34型はなにしろデビュー11年目。それも基本的なデザインは先代Z33型(2002年発売)からのキープコンセプトですから、さすがに新鮮味こそないものの、むしろ伝統のスタイルを維持していること自体が“味”であり、6速MTを高回転型の3.7リッター自然吸気V6エンジンに組み合わせた2シータークーペをまだ所有できる、という点に大きな意義があるといえるでしょう。
極めて趣味性の高い車種ですから、需要もタマ数も少ないとはいえ、現行Z34の初期型ですら安くて93万円、最新の「フェアレディZニスモ」にいたっては約569万円で販売されるなど、伝統のスポーツカーを求めるユーザー層にとってはいまだに人気が高い車種といえます。
買取査定額が期待できるフェアレディZのグレード
買取市場でも実績がかなり少ない車種なので比較できる事例は限られますが、高価買取となると、2013年6月に従来の「バージョン・ニスモ」に代わって登場したニスモならば高価買取の実績があります。
エンジンは同じVQ37VHRながら、オリジナルの336馬力に対し355馬力に調整されたほか、専用エアロパーツなど垂涎のニスモチューンがほどこされており、通常のフェアレディZとは別物といっていい存在感が評価されているようです。
買取査定額が期待できるフェアレディZのカラー
買取価格上位に並ぶのは、ほとんどがパールなど白系で、次いで多いのは黒。
赤やパープル、オレンジ、ワインレッドなどもありますが、高価買取となると白系や黒系に集中するようです。
2年落ちフェアレディZ(2021年式)の目安査定額
2年落ち2021年式フェアレディZは、2022年8月のビッグマイナーチェンジで姿がだいぶ変わり、新型の3リッターV6DOHCツインターボ化、型式もRZ34に変わる前の「旧Z34」では末期に当たるモデル。
2008年に6代目フェアレディZとして、モデルチェンジしてから大掛かりな変化はなく、エンジンもVQ37VHRで変わらず、発売時のロードスターモデルこそ廃止されているものの、ベースグレードのほか豪華装備版バーションT(7ATのみ)、スポーツグレードのバージョンS(6速MTのみ)、豪華スポーツグレードのバージョンST(MT/AT双方選択可能)、チューンド版のNISMO(同)というラインナップは変わりません。
絶対的な販売台数が少ないので買取実績も少ないのですが、「オプション込みでおおよその新車価格」と、2023年6月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。
ベースグレード:新車442万円/買取価格253万円程度
バージョンT:新車528万円/買取価格244万円程度
バージョンS:新車534万円/買取実績なし
バージョンST:新車578万円/買取実績なし
NISMO:新車711万円/買取価格433万円程度
平均買取価格:約310万円
平均残価率:約55%
3年落ちフェアレディZ(2020年式)の目安査定額
3年落ち2020年式フェアレディZは、日産の伝統的なFRスポーツクーペの6代目モデルで、2008年にモデルチェンジ以来10年以上、ロードスターの国内販売を廃止した以外は大きな変化もなく販売が続けられているロングセラーモデル。
2019年10月に消費税変更(8%→10%)に伴う価格変更が行われたほかは、2022年8月にビッグマイナーチェンジ版RZ34型に変わるまでほぼ変わっておらず、趣味性の高さから販売台数が少なくて買取実績もわずかですが、RZ34の登場に伴い、「旧Z34」の中古車買取相場は落ち着いていて、1990年代の希少なMTスポーツと比べても価値が低いということなのか、リセールバリューは若干安めです。
なお、2019年4月に初代フェアレディZ発売(1969年)から50周年を記念した特別仕様車、「50thアニバーサリー」が発売されており、このモデルの2020年式があれば買取価格はかなり高いと推測されます。「オプション込みでおおよその新車価格」と、2023年6月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。
ベースグレード:新車442万円/買取価格207万円程度
50thアニバーサリー:新車518万円/買取実績なし
バージョンT:新車528万円/買取実績なし
バージョンS:新車534万円/買取実績なし
バージョンST:新車578万円/買取価格244万円程度
NISMO:新車711万円/買取実績なし
平均買取価格:約226万円
平均残価率:約45%
5年落ちフェアレディZ(2018年式)の目安査定額
5年落ち2018年式フェアレディZは、2017年7月の改良で新型の高効率クラッチを採用、クラッチペダル踏力を軽減するとともに半クラッチコントロールを容易とし、スロットル中間開度でのトルクアップなど実用的な走行性能が改良されたモデル。
ヘッドランプやリアコンビランプの輪郭をブラックで強調するなど外観の変更も一部行われています。2018年5月には北米での1977年型人気モデルをインスパイアした「ヘリテージエディション」も発売。
オプション込みでおおよその新車価格と、2023年6月現在での平均買取相場は以下です。
ベースグレード(6MT/7AT) | 新車435万円/買取実績なし |
ヘリテージエディション(6MT/7AT) | 新車453万円/買取実績なし |
バージョンT(7AT) | 新車518万円/買取価格254万円程度 |
バージョンS(6MT) | 新車524万円/買取実績なし |
バージョンST(6MT/7AT) | 新車567万円/買取実績なし |
ニスモ(6MT/7AT) | 新車698万円/買取価格357万円程度 |
6年落ちフェアレディZ(2017年式)の目安査定額
6年落ち2017年式フェアレディZは、日産が2008年12月から販売している2ドア2シータースポーツクーペの現行モデル(Z34型)で、2014年をもってオープンモデルのロードスターは販売停止になったものの、同年9月のマイナーチェンジで静粛性向上、およびリヤサスペンションやステアリングギアの改良で、乗り心地や操縦性をさらに改良しています。
2017年7月には、さらなる改良を受け、アクセルペダルとスロットル開度の特性見直しによるトルクアップ感向上、新型高効率クラッチの搭載で、操作性向上などを果たしました。オプション込みでのおおよその新車価格と、2023年6月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。。
ベースグレード(6MT/7AT) | 新車430万円/買取実績なし |
バージョンT(7AT) | 新車515万円/買取価格176万円程度 |
バージョンS(6MT) | 新車518万円/買取実績なし |
バージョンST(6MT/7AT) | 新車561万円/買取実績なし |
ニスモ(6MT/7AT) | 新車692万円/買取価格330万円程度 |
平均買取価格 | 253万円程度 |
平均残価率 | 約41% |
9年落ちフェアレディZ(2014年式)の目安査定額
9年落ち2014年式フェアレディZは、2013年6月に従来の高性能バージョンであるバージョン・ニスモに代わってニスモを設定。2014年4月の消費税8%改定に伴う値上げの後、同年7月には静粛性向上やリアサスペンション改良による乗り心地改善などマイナーチェンジが行われたモデルです。また、2シーターオープンの「ロードスター」がまだ設定されていた最末期でもありました。
オプション込みでおおよその新車価格と、2023年6月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。
ベースグレード(6MT/7AT) | 新車419万円/買取価格151万円程度 |
バージョンT(7AT) | 新車451万円/買取実績なし |
バージョンS(6MT) | 新車463万円/買取価格169万円程度 |
バージョンST(6MT/7AT) | 新車497万円/買取価格201万円程度 |
ロードスター(6MT) | 新車490万円/買取実績なし |
ロードスターバージョンT(7AT) | 新車542万円/買取実績なし |
ロードスターバージョンST(6MT/7AT) | 新車566万円/買取価格198万円程度 |
ニスモ(6MT/7AT) | 新車601万円/買取価格209万円程度 |
10年落ちフェアレディZ(2013年式)の目安査定額
10年落ち2013年式フェアレディZは、2008年12月以来販売している現行モデルへ2012年7月にフロントバンパーやホイールなど外観中心のアップデートを行い、減衰力特性を変更したユーロ・チューンドサスペンションを全車に採用しています。
発売間もない頃からのトップモデル「バージョンニスモ」が「ニスモ」として再出発したのは2013年6月で、専用内外装をバージョンアップしたほか、336馬力から355馬力へとチューンされたエンジンなどは同じです。オプション込みでのおおよその新車価格と、2023年6月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。。
ベースグレード(6MT/7AT) | 新車410万円/買取価格111万円程度 |
バージョンT(7AT) | 新車444万円/買取価格93万円程度 |
バージョンS(6MT) | 新車457万円/買取価格177万円程度 |
バージョンST(6MT/7AT) | 新車491万円/買取価格164万円程度 |
バージョンニスモ(6MT/7AT)/ニスモ(6MT/7AT) | 新車575万円/買取価格207万円程度 |
ロードスター(6MT) | 新車483万円/買取実績なし |
ロードスターバージョンT(7AT) | 新車535万円/買取実績なし |
ロードスターバージョンST(6MT/7AT) | 新車558万円/買取価格190万円程度 |
平均買取価格 | 157万円程度 |
平均残価率 | 約32% |
14年落ちフェアレディZ(2009年式)の目安査定額
14年落ち2009年式フェアレディZは、2008年12月にモデルチェンジされた現行(6代目Z34型)モデルの初期型で、伝統のロングノーズ&ショートデッキスタイルに2シータースポーツクーペとして再出発した先代Z33をショートホイールベース化して、パワーアップしたリファイン版です。
2009年6月に出力向上や専用内外装を施した「バージョンニスモ」を追加したほか、同年10月には、先代に引き続き2シーターオープンスポーツ版の「フェアレディZロードスター」も追加されています。オプション込みでのおおよその新車価格と、2023年6月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。
ベースグレード(6MT/7AT) | 新車405万円/買取価格58万円程度 |
バージョンT(7AT) | 新車440万円/買取価格71万円程度 |
バージョンS(6MT) | 新車452万円/買取価格117万円程度 |
バージョンST(6MT/7AT) | 新車486万円/買取価格82万円程度 |
40thアニバーサリー(6MT/7AT) | 新車499万円/買取価格114万円程度 |
バージョンニスモ(6MT/7AT) | 新車550万円/買取価格156万円程度 |
ロードスター(6MT) | 新車480万円/買取実績なし |
ロードスターバージョンT(7AT) | 新車531万円/買取実績なし |
ロードスターバージョンST(6MT/7AT) | 新車554万円/買取価格147万円程度 |
平均買取価格 | 106万円程度 |
平均残価率 | 約22% |
フェアレディZを高く売るためのポイント
この種の車は、絶対的な新車販売台数は少ない一方、ある程度の中古車需要はあるため、不人気ジャンルの車よりもよほど高く売れる車ではありますが、それでも1オーナーのフルノーマル車が好条件として好まれるのは言うまでもありません。
中古車として購入したユーザーはその点で既にハンディがありますが、修復歴なし、機関好調、足回りのヘタリもなく、傷や汚れもないなど良好なコンディションであれば、1オーナー車に準じた扱いとなります。また、ホイールまで純正であれば査定にもプラス要素になるため、何か交換したとしても消耗品以外の純正部品は、可能な限り保管しておくのがポイントとなります。
フェアレディZの走行距離による値動きの変化
フェアレディZの2023年6月現在における走行距離ごとの買取相場を、2008年12月以降に販売している現行(6代目Z32型)を例に紹介します。
13万km台 | 37.2~85.2万円 | 6万km台 | 57.6~206.9万円 |
12万km台 | 32.4~103.1万円 | 5万km台 | 76.2~225.8万円 |
11万km台 | 49.9~58.7万円 | 4万km台 | 50.1~284.7万円 |
10万km台 | 28.5~85.2万円 | 3万km台 | 94.1~334.7万円 |
9万km台 | 38.2~148.1万円 | 2万km台 | 126.3~353.0万円 |
8万km台 | 55.7~163.3万円 | 1万km台 | 253.0~363.7万円 |
7万km台 | 64.5~144.2万円 |
スポーツカーらしく、総じて高価なのは高出力版の「バージョンニスモ」および「ニスモ」、次に6速MTのみでスポーティな「バージョンS」、最上級グレード「バージョンST」のおそらくは6速MT車となりますが、走行距離が3万km台に達するまでは、どのグレードでも比較的高価買取で、人気グレードでは6万km台まで査定の高さは持続します。
2014年で販売を終えてしまったZロードスターを除けば、モデルチェンジから12年近く経っても画期的な改良は特にないまま販売が続いているため、単純に距離だけでなく、人気グレードかどうかや、程度で差がつく面も大きいようです。
事故車・修復歴ありのフェアレディZの場合は?
フェアレディZの事故車買取価格は、型式、程度や年式、走行距離にもよりますが、おおむね2~25万円程度。平均すると8万円程度で買い取られており、通常の買取相場からすると高くても1割程度にとどまります。走行性能こそが重要な車種だけに、事故が走行性能低下、価値の低下に直結することが響いているのかもしれません。
フェアレディZの残価率・リセールバリューは?
極めて趣味性の高いジャンルの車種だけにリセールバリューは高めで、1年落ち2018年式こそ平均残価率49~51%(全グレード平均50%)、平均買取価格254~357万円(同、306万円)と並程度の相場に留まるものの、3年落ち2016年式では平均残価率43~49%(全グレード平均46%)、平均買取価格228~322万円(同275万円)と、値落ち幅が小さくなります。
9年落ち2014年式でも平均残価率35~40%(全グレード平均37%)、平均買取価格151~209万円(同186万円)と残価率は高めに維持されており、現行Z34の初期型から最新のZ34へと、乗り換えを考えているユーザーにとっては朗報といえるでしょう。
現行Z34はまだモデルチェンジも生産終了も噂レベルですら聞こえてきておらず、むしろGT-R同様にバージョンアップを繰り返している日産の象徴的存在であり、V37スカイライン同様に400馬力以上のハイパフォーマンス版もある3リッターV6ツインターボエンジンVR30DETT搭載モデルの登場すら可能性を残しています。
比較的低年式の現行モデルを所有しているユーザーであれば、この機にリセールバリューがより高い年式の新しいモデルへ買い換えてしまうのも手。
その上で、最新バージョンを待ってもソコソコの買取価格を期待できるかもしれません。
フェアレディZを売るのにベストなタイミングは?
2008年12月のモデルチェンジ以来、長らく大幅な改良もないまま販売され続けてきた6代目Z34フェアレディZですが、2020年夏になって日産の他車種ともども次世代フェアレディZの存在が明らかとなり、いよいよ現行Z34も型落ちする日が近くなりました。
それが2021年か2022年か、はたまた日産の現状を考えると、発売までこぎつけることができるかもまだ不透明ですが、いずれにせよ型落ちとなった瞬間にZ34はもちろん、その前のZ33も価値は大きく下落し、Z32以前のヒストリックカー的な扱いを受けるモデル以外は「ちょっと古いスポーツカー」程度となり、ニスモのような高性能グレード、40thアニバーサリーのようなメモリアルグレードを除き、高価買取には逆風となりそうです。
ただし、次期型が登場するとして、まだ存在やうっすらとしたシルエット(これも実車通りとは限らない)が明らかになったのみで、デザインやパワーユニット次第では、むしろZ34の株が大きく上がるという可能性もあります。
2023年6月現在では、むしろ「様子見」とした方が良さそうで、いずれ次期型の内容がリークなりスクープされていくでしょうから、その中で「次のZは良さそうだ」となった時が、現在お持ちのフェアレディZを売却するのに最適なタイミングでしょう。