買取相場 | 2023.04.27
高級スポーツセダン、レクサスISの買取市場での評判は?
Posted by 菅野 直人
2005年、トヨタが高級車ブランド「レクサス」を国内で展開し始めた直後にデビューを果たした「レクサス・IS」。 いまや高級大型セダンの「LS」、高級アッパーミドルクラスセダンの「ES」とともに、レクサスを代表するスポーツセダンとして、同ブランドのセダンを守る3本柱の一角を担う必要不可欠な存在となっています。しかし世はSUV全盛期、いかにレクサスのスポーツセダンとはいえ、ISは買取市場でどのような評価を受けているのでしょうか?
以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください
SUMMARY
レクサスISの中古市場での人気について
高級車ブランドであるレクサスのスポーツセダンISは2005年から日本でも2代目が発売されていますが、ルーツとなる初代ISが日本で登場したのは1998年。まだレクサスの国内展開前だったので、トヨタブランドから「アルテッツァ」の名で登場するとともに、海外レクサス仕様にはない直4スポーツエンジン3S-G搭載の国内専用仕様も設定されていました。
もっとも国内向けスポーツセダンとしては不評で、発売前から“AE86の再来となるFRエントリースポーツ来たる!!”と期待されすぎたため、実際に発売されてみると高級車でありすぎ、中古でチューニングやドレスアップベースとして安価に手に入るようになるまで、その人気は振るわない結果に。
しかし、その一方で直6エンジン1G-FEを搭載した仕様は本来の高級スポーティセダン路線に沿っていたため次第に高い評価を受け、日本にスポーティなプレミアムコンパクトセダンの概念と魅力を着実に浸透させました。
2005年にモデルチェンジを果たし、レクサスISとして改めてデビューすると、ボディや排気量こそ一回り大きくなったものの、ショートホイールベースで運動性能の高いワイド&ローなスポーツセダン路線は健在で、トヨタ名義時代ほどの量販はなされなかったとはいえ、「トヨタ・マークX」などの上級移行モデルとして、「メルセデス・ベンツCクラス」や「BMW3シリーズ」へ対抗していきます。
2019年9月時点では3代目(日本では2代目)となってから6年、装備面や各種性能がやや古く物足りない面もありますが、1クラス上のGSが廃止されるのに伴い、引き続きレクサスのプレミアム・スポーティイメージを形成するスポーツセダンとして、SUV全盛期の中でも途切れず、その存在感を守り続けていくことでしょう。
買取査定額が期待できるレクサスISのグレード
ISは2代目(日本での初代)が2.5リッターV6エンジンの「IS250」、同3.5リッターV6「IS350」が基本で、それぞれ通常グレードにプラスして内外装がスポーティに仕上げられた「バージョンS」「バージョンT」「バージョンF(後にFスポーツ)」、ラグジュアリー仕様の「バージョンL」と、節目ごとに設定される特別仕様車があります。
また、2009年5月に発売された、電動メタルトップをもつ2ドアクーペカブリオレ仕様「IS250C」「IS350C」も、現行モデル登場後の2014年5月までラインアップ。現行の3代目(日本での2代目)ではIS250、IS350に加え、2.5リッター直4ハイブリッドの「IS300h」で始まり、途中で廃止されるIS250と入れ替わるように、2リッター直4ターボの「IS200t(後にIS300へ改名)」が追加され、クーペカブリオレは廃止。そしてそれぞれのグレードへ通常モデルのほか、FスポーツとバージョンLが引き続き設定されています。
この中で買取査定が期待できるグレードというと、歴代を通じIS250 FスポーツとIS250C系が抜きん出ており、IS350系はセダン、クーペカブリオレともに低調。ISは250と350で外観に目立つ差異が少ないため、中古市場では自動車税が高く維持費がかかるだけで見栄を張れないIS350はどうも人気が今ひとつなようです。
逆に比較的安価に見栄を張れる内外装スポーツ仕様のIS 250 Fスポーツと、明確に趣味性へ舵を切りつつ手軽に高級なオープンエアを味わえるIS250C系の査定が高いのは必然といえますし、今後は自動車税が安いIS200t(IS300)の査定が高めになってくるでしょう。
では、IS250以外のグレードは高値が期待できないかというと、IS350やIS300hでも高級内外装のバージョンLやFスポーツに限れば、比較的高値がつきます。
買取査定額が期待できるレクサスISのカラー
冠婚葬祭などフォーマルな場へ乗りつけることも想定されたISですから、当然買取査定額上位はソニッククォーツやホワイトノーヴァガラスフレーク、ブラックにグラファイトブラックガラスフレークなどが人気色で、続いてシルバー系と、日本では当たり前といえるボディカラーが並びます。
チラホラと他のボディカラーも上位に顔を出していますが、意外なところではレッドマイカクリスタルシャインやマダーレッドの上位台数がFスポーツで比較的多く、スポーティな内外装に赤いISは、高額買取の大穴狙いがイケるかもしれません。
1年落ちレクサスIS(2022年式)の目安査定額
1年落ち2022年式レクサスISは、トヨタの高級車ブランド、「レクサス」で2013年5月から販売している高級スポーツセダン、「IS」3代目(現行)の10年目モデル。
モデルライフがかなり長くなっていますが、2020年11月に受けたフルモデル級のビッグマイナーチェンジで内外装を一新、予防安全装備「Lexus Safety System +」も機能を強化。
従来のハイパフォーマンスモデルだった3.5リッターV6エンジンの「IS350」がスポーツ系グレードの「F SPORT」のみへ整理されたものの、2022年8月にはかつての高性能版「IS F」と同じ5リッターV8エンジンを積む、「IS500」が追加されました。
その他、2021年10月にはブラック基調のカラーコーディネートや装備充実が図られた「F SPORT モードブラックS」や、一部仕様が異なる「F SPORT モードグリッター」という、2つの特別仕様車を発売。
2022年8月にはブラック基調カラーコーディネート特別仕様車の最新版、「F SPORT モードブラックIII」が発売されています。「オプション込みでおおよその新車価格」と、2023年4月現在での平均買取相場は以下。
【IS300系】(2リッター直4ターボ)
IS300:新車529万円/買取実績なし
IS300 F SPORT:新車589万円/買取価格392万円程度
IS300 virsion L:新車611万円/買取実績なし
IS300 F SPORT モードグリッター:新車622万円/買取実績なし
IS300 F SPORT モードブラックS:新車644万円/買取実績なし
IS300 F SPORT モードブラックIII:新車645万円/買取実績なし
【IS300h系】(2.5リッター直4ハイブリッド)
IS300h:新車602万円/買取実績なし
IS300h F SPORT:新車662万円/買取実績なし
IS300h virsion L:新車684万円/買取実績なし
IS300h F SPORT モードグリッター:新車694万円/買取実績なし
IS300h F SPORT モードブラックS:新車716万円/買取実績なし
IS300h F SPORT モードブラックIII:新車717万円/買取実績なし
【IS350系】(3.5リッターV6)
IS350 F SPORT:新車457万円/買取価格433万円程度
IS350 F SPORT モードグリッター:新車748万円/買取実績なし
IS350 F SPORT モードブラックS:新車770万円/買取実績なし
IS350 F SPORT モードブラックIII:新車771万円/買取実績なし
【IS500系】(5リッターV8)
IS500 F SPORT パフォーマンス:新車935万円/買取価格715万円程度
IS500 F SPORT パフォーマンス ファーストエディション:新車990万円/買取実績なし
平均買取価格:約513万円
平均残価率:約68%
2年落ちレクサスIS(2021年式)の目安査定額
レクサスISの2年落ち2021年式モデルは、2013年に発売された現行(3代目)モデル。 基本設計の古さから2020年前後にはモデルチェンジという噂があったものの、実際には2020年11月にモデルチェンジに近いほど外観が大きく変わるビッグマイナーチェンジを受け延命、予防安全性能を向上したほか動力性能に大幅なアップデートはなかったものの面目を一新しました。
2022年7月に発表された次期型(4代目)も、新型コロナ禍や戦争による世界の混乱で生産が思うに任せぬ中、納期の大幅遅延が予想されるため、最近復権が著しいトヨタ系セダンとしても格別にリセールバリューの高い状況が続いています。
あるいは今後、ランドクルーザー300のように転売目的での「資産化」が進む可能性もあり、しばらくは中古車販売価格の相場、買取相場ともに推移を見守りながら売り時を見極める事になりそうですが、全般的には次期型で相当なアップデートが予想されるハイブリッドより、ガソリン車のリセールバリューが高めです。
「オプション込みでおおよその新車価格」と、2023年4月現在での平均買取相場は、以下の通りです。
(ガソリン車)
●IS300:新車528万円/買取価格359万円程度
●IS300 F SPORT:新車589万円/買取価格459万円程度
●IS300 F SPORT モードブラック:新車644万円/買取価格473万円程度
●IS300 F SPORT モードブラックS:新車644万円/買取実績なし
●IS300 F SPORT モードグリッター:新車622万円/買取実績なし
●IS300 version L:新車608万円/買取実績なし
●IS350 F SPORT:新車715万円/買取価格488万円程度
●IS350 F SPORT モードブラック:新車770万円/買取価格543万円程度
●IS350 F SPORT モードグリッター:新車748万円/買取実績なし
●IS350 F SPORT モードブラックS:新車770万円/買取実績なし
平均買取価格:約464万円
平均残価率:約72%
(ハイブリッド車)
●IS300h:新車602万円/買取実績なし
●IS300h F SPORT:新車661万円/買取価格440万円程度
●IS300h version L:新車683万円/買取実績なし
●IS300h F SPORT モードグリッター:新車694万円/買取実績なし
●IS300h F SPORT モードブラックS:新車716万円/買取実績なし
平均買取価格:約440万円
平均残価率:約67%
(総合)
平均買取価格:約452万円
平均残価率:約69%
4年落ちレクサスIS(2019年式)の目安査定額
4年落ち2019年式レクサスISは、レクサスのスポーツセダン、2013年5月の発売後10年以上たってなお現行モデルとして販売を続ける、3代目「IS」の7年目で、2020年11月に受けたビッグマイナーチェンジ以前としては末期のモデルとなります。
2019年式では2018年8月改良時に、ブラック基調カラーコディネート版特別仕様車、「ブラックシークエンス」を発売したほか、2019年10月には消費税改定(8%→10%)に伴う価格改定が行われるとともに、藍色や黒を基調としたカラーコーディネート版特別仕様車、「ブルーI(アイ)」を発売しました。「オプション込みでおおよその新車価格」と、2023年4月現在での平均買取相場は、以下の通りです。
【IS300系】(2リッター直4ターボ)
IS300:新車523万円/買取実績なし
IS300 F SPORT:新車580万円/買取実績なし
IS300 ブラックシークエンス:新車585万円/買取実績なし
IS300 Iブルー:新車596万円/買取実績なし
IS300 virsion L:新車591万円/買取実績なし
【IS300h系】(2.5リッター直4ハイブリッド)
IS300h:新車596万円/買取価格433万円程度
IS300h F SPORT:新車671万円/買取価格433万円程度
IS300h ブラックシークエンス:新車662万円/買取価格433万円程度
IS300h Iブルー:新車675万円/買取実績なし
IS300h virsion L:新車667万円/買取価格433万円程度
【IS350系】(3.5リッターV6)
IS350:新車625万円/買取実績なし
IS350 virsion L:新車703万円/買取実績なし
IS350 F SPORT:新車704万円/買取実績なし
IS350 ブラックシークエンス:新車708万円/買取実績なし
IS350 Iブルー:新車722万円/買取実績なし
平均買取価格:約257万円
平均残価率:約39%
7年落ちレクサスIS(2016年式)の目安査定額
7年落ち2016年式レクサスISは、2015年7月にIS200tを追加、入れ替わりにIS250のFRが廃止されて4WDのみになり、2016年10月にはIS250自体が廃止されるという過渡期。2016年3月にはIS200tとIS300hのFスポーツをベースに、内外装をより都会的なスタイリッシュさへ振りつつ安全装備も充実させた特別仕様「モードプラス」を発売しています。2023年4月現在での平均買取相場は、以下の通りです。
●IS200t(FR):新車508万円/買取価格181万円程度
●IS200t バージョンL(FR):新車572万円/買取価格191万円程度
●IS200t Fスポーツ(FR):新車566万円/買取価格271万円程度
●IS200t Fスポーツモードプラス(FR):新車572万円/買取価格245万円程度
●IS300h Fスポーツモードプラス(FR/4WD):新車646万円/買取価格220万円程度
●IS300h(FR/4WD):新車580万円/買取価格220万円程度
●IS300h バージョンL(FR/4WD):新車647万円/買取価格304万円程度
●IS300h Fスポーツ(FR/4WD):新車658万円/買取価格231万円程度
●IS250(4WD):新車527万円/買取実績なし
●IS250 バージョンL(4WD):新車590万円/買取実績なし
●IS250 Fスポーツ(4WD):新車624万円/買取実績なし
●IS350(FR):新車607万円/買取価格244万円程度
●IS350 バージョンL(FR):新車670万円/買取実績なし
●IS350 Fスポーツ(FR):新車687万円/買取実績なし
11年落ちレクサスIS(2012年式)の目安査定額
11年落ち2012年式レクサスISは2代目(日本では初代)末期にあたり、初代の中では比較的年式が新しく、まだいくらか買取も期待できる時期です。2023年4月現在での平均買取相場は、以下のようになります。
●IS250(FR/4WD):新車458万円/買取価格66万円程度
●IS250 バージョンT(FR):新車462万円/買取実績なし
●IS250 Fスポーツ(FR):新車495万円/買取価格112万円程度
●IS250 バージョンL(FR/4WD):新車518万円/買取価格73万円程度
●IS350(FR):新車546万円/買取実績なし
●IS350 バージョンT(FR):新車559万円/買取実績なし
●IS350 Fスポーツ(FR):新車592万円/買取価格138万円程度
●IS350 バージョンL(FR):新車595万円/買取実績なし
●IS250C(FR):新車545万円/買取実績なし
●IS250C バージョンL(FR):新車589万円/買取価格188万円程度
●IS250C Fスポーツ(FR):新車616万円/買取実績なし
●IS350C(FR):新車682万円/買取価格158万円程度
●IS350C Fスポーツ(FR):新車710万円/買取実績なし
14年落ちレクサスIS(2009年式)の目安査定額
14年落ち2009年式のISはちょうど2ドアクーペカブリオレ仕様のIS250C/IS350Cが発売された時期で、買取市場でも4ドアセダンより人気なことから意外な差が出ています。2023年4月現在での平均買取相場は、以下の通りです。
●IS250(FR/4WD):新車455万円/買取価格28万円程度
●IS250 バージョンS(FR):新車459万円/買取価格50万円程度
●IS250 バージョンF(FR):新車488万円/買取価格60万円程度
●IS250 バージョンL(FR/4WD):新車513万円/買取価格55万円程度
●IS250 レッドエッジブラックインテリア(FR/4WD):新車491万円/買取価格34万円程度
●IS350(FR):新車541万円/買取実績なし
●IS350 バージョンS(FR):新車556万円/買取価格16万円程度
●IS350 バージョンF(FR):新車585万円/買取実績なし
●IS350 バージョンL(FR):新車590万円/買取価格12万円程度
●IS350 レッドエッジブラックインテリア(FR):新車568万円/買取実績なし
●IS250C(FR):新車545万円/買取価格90万円程度
●IS250C バージョンL(FR):新車589万円/買取価格143万円程度
事故車・修復歴ありのレクサスISの場合は?
レクサスISの事故車買取実績では、現行モデルの2013年式IS250がエンジン・エアバッグの無事な状況で113万円で買い取られ、60万円の修理費用をかけ中古車市場へ復帰した例があります。
同時期のIS250の買取実績は最高値で約200万円弱程度ですから、状態の修理の程度にもよりますが、事故車だと通常の5~6割程度が最高だと考えるのがよさそうです。
レクサスISの残価率・リセールバリューは?
そもそも国産4ドアセダン、しかも高級車とはいえ輸入車ほどブランドイメージの構築に成功していないレクサス車、というハンディのあるISですが、3年落ちで平均残価率33~48%(全グレード平均39%)、平均買取価格181万円~304万円は、初回車検で車検切れの車が増えているとはいえど、やはり少々厳しいといえます。
健闘して残価率も高いのはIS200t Fスポーツ(48%)、IS300h バージョンL(47%)で、それぞれのグレードの特色をもっともよく活かしたバージョンが、買取市場でも人気が高いようです。逆にIS200t バージョンLやIS300h Fスポーツだと査定が厳しくなりますから、買取査定を申し込む際には、グレードとバージョンの特性が一致しているか、同グレードでも仕様のマッチング違いが買取に大きく差が出ることを頭に入れておきましょう。
その傾向は6年落ち先代モデルでも変わらず、平均残価率14~32%(全グレード平均22%)、平均買取価格66万円~188万円(同122万円)で、総合的に見ればIS250でも350でもFスポーツが高く、通常モデルやバージョンLの査定は振るわず。
ただ、この年式はクーペカブリオレのIS250CとIS350Cが残価率、買取価格ともに高値を牽引しており、セダンだけだと平均残価率は20%を切ってしまい、セダン不振を買取データの面からも証明している形です。
さらに10年落ちとなると、平均残価率2~24%(全グレード平均10%)、平均買取価格12~143万円(同54万円)で、これもクーペカブリオレ版が高値を牽引しているだけで、セダンだけならそれぞれ2~12%%、12~60万円程度にしかなりません。
よほど走行距離が少なく程度がよければ、レクサスのデザインアイデンティティ「スピンドルグリル」を嫌う層に需要があるのか、100万円オーバーの高値(IS250バージョンL)がつく例も。とはいえ、通常の使い方をしてきた車ではそこまで期待できないと考えるのが自然でしょう。
総合すると、ISはレクサスを代表する高級スポーツセダンらしく、極力自動車税の安いIS200t(IS300)やIS250ならスポーツ版最上級のFスポーツ、ハイブリッドのIS300hなど環境志向グレードならラグジュアリー仕様バージョンLのリセールバリューが高いのはまず確実。
次いで趣味性の高いクーペカブリオレ仕様IS250C/IS350Cはセダンより古くともリセールバリューが良好なので、現在所有していてもっと新しい、あるいは実用性の高い車へ乗り換えたい希望があるなら、買取でなかなかの期待がもてます。セダン不況、レクサス不振とあきらめず、所有しているISのグレードやバージョンを確かめて、相場をじっくり読んでみましょう。