買取相場 | 2022.12.15
トヨタの新世代スタイリッシュワゴン「カローラツーリング」。買取相場の評価は?
Posted by 菅野 直人
カローラスポーツ(2018年6月発売)に続き、セダンともども新世代カローラとして2019年9月に発売されたステーションワゴン版カローラ「カローラツーリング」。 前身にあたるカローラフィールダーに続き「ワゴン」と名付けず、どちらかといえばクーペルックとも言えるスタイリッシュなステーションワゴンとして、ミニバンやSUVに飽きたユーザーや、ロールーフミニバンから乗り換えるユーザーから人気のようです。 日本でワゴン人気が復活するキッカケになるのではとも言われましたが、発売から3年がたった今、買取市場での評価はどうなっているでしょうか?
以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください
SUMMARY
カローラツーリングの中古車市場での人気について
大手中古車情報サイトにおける2022年11月現在の流通台数を見ると、カローラツーリングの掲載台数は778台、そのうち試乗車や展示車、登録済み未使用車と思われる走行距離500km未満の車両は26台のみで、発売からまだ約3年の車種としては流通台数が多く、在庫リスクも低いクルマと言えます。
動力別での販売比率と価格帯は、1.8Lハイブリッド車が、421台で175.9万~345万円、ガソリン車は、357台で149万~343.9万円、ガソリン車には1.8L自然吸気、1.2Lターボのほか、2Lエンジンを積みそれぞれ限定500台の「2000リミテッド」と、アウトドアテイスト版「アクティブライド」も8台含まれており、こちらは225万~343.9万円と、ガソリン車の高価格帯を引っ張っています。
新車の納期が一時期よりは落ち着き、ガソリン車で2~3ヶ月、ハイブリッドでも4ヶ月程度に収まっていますが、もともと車両本体価格で200万円台のクルマのため、平均年間走行距離が1万kmを超える多走行車を除けば、それなりの高価格で販売されており、限定車や特別仕様車の価格は、プレミア気味です。
また、「WxB(ダブルバイビー)」の1.2Lターボにのみ設定された6MT車が、2022年10月の改良で廃止されたため、今後は趣味性の高いレア車として6MT車にプレミア価格がつきそうですが、噂されている高性能版「GRカローラツーリング」の追加が実現するかどうか次第と言えます(GR SPORTの追加程度であればAT車だけでしょうから、6MT車の希少価値はグンと上がります)。
買取査定額が期待できるカローラツーリングのグレード
ガソリン車とハイブリッド車を併売する車種で、買取査定の定番に「高年式車はハイブリッド車がガソリン車よりやや優位か同等、低年式になると走行用バッテリーの性能低下リスクが危惧されてか、ハイブリッドの値落ちが激しくなる」というものがあります。
カローラツーリングは、まだ発売から約3年と新しいため、低年式車が存在せず、ガソリン車とハイブリッドの新車価格に対する買取査定額の割合はほぼ同等、ただしガソリン車には4WDの設定がなく、FF車のみであることを考えれば、ガソリン車が健闘していると言えるでしょう。
今回の調査では、2Lエンジン搭載の500台限定車「2000リミテッド」と「アクティブライド」の買取実績はありませんでしたが、希少価値を考えると、ガソリン車人気をさらに底上げしていたかもしれません。
なお、特別仕様車を除くグレード構成は、ガソリン車もハイブリッド車も廉価版「G-X」、中間版「S」、上位版「WxB(ダブルバイビー)」の3種類で、高価買取が期待できるのは「WxB」、次いで「S」となります。
買取査定額が期待できるカローラツーリングのカラー
高額査定車のボディカラーは、ほとんどが白か黒で、シルバーやグレー、紫、青といったその他のボディカラーは、総じて査定が低めです。
トヨタ車らしいといえますが、無難な定番色の一つであるシルバーも査定低めというのは意外で、セダンのカローラアクシオともども、ビジネス用途向けに継続販売されている旧型、カローラフィールダーのイメージが濃く、「ライトバンと思われるのを避けたい」ということかもしれません。
【1年落ち2021年式カローラツーリングの目安査定額】
1年落ち2021年式カローラツーリングは、2020年10月の一部改良で新しい純正17インチホイール(オプション)や、ボディカラーの新色追加が行われたモデル。
2021年4月には、前年に500台限定で販売された2Lガソリン車「2000リミテッド」と同じエンジンを積み、クロスオーバーと呼ぶには樹脂製パーツの追加にまで至っていないものの、特別色の「ブラックマイカ×アーバンカーキ」、「アーバンカーキ」を設定するなど、ボディカラーや内外装の雰囲気でアウトドアテイストを演出した特別仕様車「アクティブライド」を500台限定で発売。
同7月の一部改良では「WxB(ダブルバイビー)」と「S」の助手席側エアコン吹き出し口へ設置するオプション設定で、ウイルスや雑菌の抑制効果をうたう微粒子イオンを放出する「ナノイーX」を追加。
同11月には、「WxB」のハイブリッド車へカローラシリーズの世界累計販売台数が5,000万台に達したことを記念する特別仕様車、「50ミリオンエディション」を、追加しました。「オプション込みでおおよその新車価格」と2022年11月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。
(ガソリン車)
G-X | 新車221万円に対し、買取実績なし |
G-Xプラス | 新車228万円に対し、買取価格130万円程度 |
S | 新車244万円に対し、買取実績なし |
WxB | 新車266万円に対し、買取価格164万円程度 |
アクティブライド | 新車293万円に対し、買取実績なし |
平均買取価格 | 147万円程度・平均残価率59%程度 |
(ハイブリッド)
ハイブリッドG-X | 新車284万円に対し、買取実績なし |
ハイブリッドG-Xプラス | 新車291万円に対し、買取実績なし |
ハイブリッドS | 新車303万円に対し、買取価格156万円程度 |
ハイブリッドWxB | 新車319万円に対し、買取価格204万円程度 |
ハイブリッドWxB 50ミリオンエディション | 新車328万円に対し、買取実績なし |
平均買取価格 | 180万円程度・平均残価率58%程度 |
【2年落ち2020年式カローラツーリングの目安査定額】
2年落ち2020年式カローラツーリングは、2019年10月に発売されたカローラツーリングの2年目モデルで、2020年5月には廉価グレード「G-X」へインテリジェントクリアランスソナー、バックガイドモニターといった安全装備や、UVカット機能つきプライバシーガラスなどで充実させた特別仕様車「G-Xプラス」を追加。
同6月には、限定500台で通常の1.8L自然吸気エンジンや、1.2Lターボよりダイナミックで力強い走りを生む、北米向けと同じ2L自然吸気エンジンを搭載した「2000リミテッド」を500台限定で発売、2020年10月には、2021年式の項で紹介した一部改良を受けています。「オプション込みでおおよその新車価格」と2022年11月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。
(ガソリン車)
G-X | 新車221万円に対し、買取実績なし |
G-Xプラス | 新車226万円に対し、買取実績なし |
S | 新車244万円に対し、買取価格111万円程度 |
WxB | 新車266万円に対し、買取価格157万円程度 |
2000リミテッド | 新車288万円に対し、買取実績なし |
平均買取価格 | 134万円程度・平均残価率52%程度 |
(ハイブリッド)
ハイブリッドG-X | 新車284万円に対し、買取実績なし |
ハイブリッドG-Xプラス | 新車289万円に対し、買取価格126万円程度 |
ハイブリッドS | 新車303万円に対し、買取価格163万円程度 |
ハイブリッドWxB | 新車319万円に対し、買取価格197万円程度 |
平均買取価格 | 162万円程度・平均残価率53%程度 |
【3年落ち2019年式カローラツーリングの目安査定額】
3年落ち2019年式カローラツーリングは、2019年10月に前身のカローラフィールダーからモデルチェンジ&改名したカローラツーリングの初期モデル(カローラツーリングも、主に5ナンバー車が必要なビジネス用途を想定して継続販売)。
前身がヴィッツのプラットフォームをベースにコンパクトにまとまっていた1.5~1.8L級5ナンバーワゴンだったのに対し、新設計アーキテクチャ「TNGA」により開発された新プラットフォームを採用した3ナンバーワゴンとなり、堂々としてスタイリッシュなスポーツワゴンへと変身しています。
カローラフィールダーを継続販売したことで、思い切った車格アップも可能にしたほか、1.2Lターボ車限定ながら6速MT車(2022年10月で廃止)を設定していたのも特徴で、スマートフォンと連携するコネクティッドサービスの充実など、通信装備面の充実も当時は話題になりました。「オプション込みでおおよその新車価格」と2022年11月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。
(ガソリン車)
G-X | 新車221万円に対し、買取実績なし |
S | 新車244万円に対し、買取価格146万円程度 |
WxB | 新車266万円に対し、買取価格159万円程度 |
平均買取価格 | 152万円程度・平均残価率60%程度 |
(ハイブリッド)
ハイブリッドG-X | 新車284万円に対し、買取実績なし |
ハイブリッドS | 新車303万円に対し、買取価格163万円程度 |
ハイブリッドWxB | 新車319万円に対し、買取価格186万円程度 |
平均買取価格 | 174万円程度・平均残価率60%程度 |
カローラツーリングの残価率・リセールバリューは?
今回の調査結果では、たまたまなのか、なぜか2年落ち2021年式のリセールバリュー(新車価格に対する買取査定額の割合、残価率)が50%台と低かったものの、1年落ちや3年落ちでは、50%台後半~60%とかなり高い割合を維持しています。
1990年代のブームで各社から続々と発売されたステーションワゴンがスバル車に敗れ、あるいはロールーフミニバンに取って代わられてのブーム終了で次々と消えていく中、カローラのワゴンを売り続けてきたトヨタの地道な努力が報われた形です。
これがワゴンブーム、あるいは実質3列目はあまり使われずワゴンとして使われていたロールーフミニバンの再来と考える向きもあり、買取市場でもカローラツーリングは歓迎されています。
高性能でも高価で手が出ない車種や、そもそもブランドで高価な輸入ワゴンより手頃な価格で購入できて、販売・サービス網も充実したトヨタ車として安心して乗れるということや、新型コロナウイルス禍で自家用車の所有が見直されたこと、さらに同じ理由で海外からの輸入部品不足による生産遅延もあって、人気車種の査定額はプレミアつき上昇中。
新車の納期遅延、中古車の品薄な状況は、まだしばらく続きそうですし、実用ワゴンというより趣味性の高いスポーツワゴンとして人気になっているカローラフィールダーは、今後もリセールバリューが50~60%程度の「趣味性の高い実用車」として、安心して購入、売却できるクルマとなりそうです。