買取相場 | 2022.10.28
第2世代e-POWERの搭載で走りの評価は上々。日産キックスの中古市場での評価は?
Posted by 菅野 直人
海外生産、特に東南アジア製日本車のセールスは、失敗しがちという日本市場において、例外的に好調なセールスを続けているe-POWER専用コンパクトSUV、日産 キックス。2022年7月には待望の4WDが追加されるなど、テコ入れもバッチリな同車ですが、下取りや売却で参考になる買取市場での評価はどうでしょうか?
以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください
SUMMARY
キックスの中古車市場での人気について
2016年にブラジルで発売されたのが初セールスであったように、本来は新興国向けの低価格小型SUVでしたが、高級・スポーツ路線が一段落して、コンパクトSUVの需要が高まった日本でも発売待望論が高まり、ついに2020年6月には日本でも発売されたキックス。
1.2Lエンジンを発電機としたタイ製e-POWERモデルを日本仕様に手直しして発売、現在のノートやノート オーラのようなe-POWER専用車の先駆けで、当初はタイ製ということもあって、品質に懐疑的な見方があったり、一部グレードやボディカラーの納期に遅れがあったものの、順調なセールスを記録していきました。
大手中古車情報サイトによると、2022年10月現在で、全国703台のキックスが流通しているものの、走行500km未満の登録済み未使用車や展示車・試乗車上がりのような車は、約13%に過ぎず、納期も2~5ヶ月程度と短めのため、昨今の生産遅延により半年から1年以上待つのが当たり前のモデルが多い現在でも、比較的手に入りやすいモデルと言えます。
それでも車両本体の価格帯は、修復歴の有無に関わらず206~349.8万円と、オプション込み新車価格平均の304~365万円に対し極端に安いわけでなく、発売されてまだ2年程度の高年式車ばかりなことから、中古車価格は新車並みの強気展開になっていると言えるでしょう。
買取査定額が期待できるキックスのグレード
キックスは、基本的に1.2Lエンジンを発電機としたe-POWERモデル一択のモノグレード(単一グレード)展開で、内外装が若干異なる「~エディション」や、スポーティな「オーテック」モデルに付加価値がつき、少々高めの値付けがつけられている程度のSUVです。
2022年7月に追加された電動4WDモデルがどのような影響を与えていくかは、まだ新しすぎて不明ですが、少なくとも現在の買取市場におけるキックスの相場は、「~エディションやオーテック版で新車価格が上がったなり」程度の差しかなく、極端に買取査定額アップを期待できるグレードは、特にありません。
買取査定額が期待できるキックスのカラー
e-POWER専用車らしく、オレンジ(プレミアムホライズンオレンジ)、またはオレンジにルーフがブラック(ピュアブラック)の2トーンがイメージカラーとなっているキックスですが、パーソナルユース(個人利用)向けのゲタ車的SUVだけに、買取査定で高額になっているのは、無難な白(ブリリアントホワイトパール)か、黒と意外に平凡です。
コンパクトSUVだからといって、ポップなカラーが高評価というわけでもなく、経済性に優れたクルマを好み、趣味性はさほど重視しない、保守層向けコンパクトSUVという一面が見えてきます。
【1年落ち2021年式キックスの目安査定額】
1年落ち2021年式キックスは、同年3月にスポーティエアロ仕様の「オーテック」を追加、同11月に総合アウトドアメーカーのコロンビアスポーツウェアジャパンと内外装を共同企画した「コロンビアエディション」が500台限定で販売されました。
4WD追加などは2022年に持ち越されていて、他に大きな変化はなく、「オプション込みでおおよその新車価格」と2022年10月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。
X | 新車304万円に対し、買取価格191万円程度 |
Xツートーンインテリアエディション | 新車316万円に対し、買取価格199万円程度 |
Xコロンビアエディション | 新車327万円に対し、買取実績なし |
オーテック | 新車342万円に対し、買取実績なし |
平均買取価格 | 195万円程度・平均残価率63%程度 |
【2年落ち2020年式キックスの目安査定額】
2年落ち2020年式キックスは、同年6月30日に発売された初期モデルで、先代ノート(E12型)、現行セレナ(C27型)に続く、日産で3番目のシリーズ式ハイブリッドシステムe-POWER車であり、初のe-POWER専用車です。
電動化やEVに熱心な日産らしく、純ガソリン車の廉価版が設定されなかったものの、純モーター駆動では初のSUV、それも安価で経済性の高いコンパクトモデルということもあって人気が高く、当初から好調なセールスを記録しました。「オプション込みでおおよその新車価格」と2022年10月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。
X | 新車304万円に対し、買取価格181万円程度 |
Xツートーンインテリアエディション | 新車316万円に対し、買取価格192万円程度 |
平均買取価格 | 186万円程度・平均残価率60%程度 |
キックスの残価率・リセールバリューは?
2年ほど前に発売されたばかりの高年式車揃いとあって、ハイブリッド車やEV特有の「走行用バッテリーの経年劣化を懸念した、低年式になるほどの急激なリセールバリュー(平均残価率)低下」は、まだ見られません。
新型コロナウイルスやウクライナでの戦争など、世界的混乱期にあってもタイ製なのが幸いしたのか、日本国内工場での生産車ほど生産遅延の影響は少なく、比較的短納期で新車が購入できることもあってか、人気のコンパクトSUVとはいえ、リセールバリューは約60~63%台と、2年落ち以内のSUVとしては控えめと言えるでしょう。
あるいは、やはりハイブリッド(e-POWER)専用車なのがネックで、本来であれば、もっと高いリセールバリューを記録していたかもしれませんが、世界情勢の不安感から円安ドル高が急激に進行する異常事態の中、輸入車のキックスもいつ値上がりするか知れず、中古車人気が高まれば今後若干のリセールバリュー上乗せ、あるいは経年劣化による価値の下げ止まりが期待できるかもしれません。