カスタム・アフターパーツ | 2022.04.08
車のエアフィルターを交換すると何が良くなる?
Posted by 菅野 直人
これからは次第に少なくなっていくとはいえ、少なくとも今後数十年は、まだまだ現役であろう、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンといった内燃機関に欠かせないのが、吸気から余分なゴミなど、ろ過してエンジン内部を守るエアフィルター。 定期的に交換・または洗浄が求められる重要な部品ですが、交換することによって、何が変わるのでしょうか?
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エンジンにとって重要な役割を果たすエアフィルターとは
一般的なレシプロエンジン(ピストンエンジン)では、外部から取り入れた空気を燃料と共に燃焼室へ取り入れ、爆発燃焼させた力でピストンを動かしますが、その際に大量の空気を取り込まねば燃料に点火しても燃焼せず、エンジンは動きません。
そのため、インテークマニホールド(吸気管)から自然に、あるいはターボチャージャーやスーパーチャージャーなど過給機で加圧した空気をエンジンへ送り込みますが、その時に純粋に混じりけのない空気を取り込まないと、エンジン内部へさまざまなゴミが入ります。
一方、外気には目に見えるものから、肉眼では見にくい細かいものまで、さまざまな異物が含まれており、そのまま取り込むわけにはいきません。
そこで登場するのが、「エアフィルター」または「エアクリ(エアクリーナー)」と呼ばれる部品で、異物はしっかり食い止めつつ、空気はしっかり通す性能が求められる部品です。
もしエアフィルターがなければ、シリンダーとピストンの間に挟まった異物がシリンダーを削って、ピストンが空気を圧縮できなくなったり、燃焼室の燃えカスが増えるなどして、正常な燃焼ができずに性能はガタ落ち、いつかは故障してしまうでしょう。
新品へ交換することで何が変わるのか
エンジンにとって重要な役割を果たすエアフィルターですが、異物を食い止める役割を持っている以上、使い続けているうちに長年食い止めた異物によって、フィルターが目詰まりを起こし、空気の流れが悪くなります。
限界に達すれば、全く空気を通さなくなりますが、そうなる前にエンジンへ取り込まれる空気の量が減り、昔の機械式制御であれば空燃比(燃料と空気の比率)が極端に燃料過剰となり、燃やしきれない燃料で燃焼室にススがたまったり、排ガスが汚くなるのは避けられません。
エンジンがコンピューター制御の場合は、空燃比の変化を察知して、燃料を減らすよう制御しますが、本来取り込めるはずの空気が来ない以上、パワーダウンして吹け上がりも悪くなります。
そのような頑強である、目詰まりしたフィルターを新品に交換すれば、空燃比は改善されて、エンジンの制御方式はどうであれ、本来発揮できる性能を取り戻すのです。
燃料が来なければ燃料ポンプなど燃料系、点火が不調であればスパークプラグやコイルなど点火系を交換しますが、異物を食い止めつつ空気を通すエアフィルターも、同じように重要な部品といえます。
なお、純正エアフィルターの交換は、大抵の車種でエアフィルターボックス(エアクリボックスとも言う)の留め金を外して中のフィルターを取り出し、新品をハメ直すだけの簡単な作業です。
スポーツタイプへの交換は、吸気効率が良くなる
また、純正または純正相当品の新品へ交換するのと別に、「スポーツタイプのエアフィルターへ交換する」というパターンもあります。
この場合、純正の新品エアフィルターに対して、吸気量が増えるわけではありませんが、やや目が粗く、空気を通しやすいフィルターを使うことによって、時間あたりの取り込める吸気量を増やし、エンジンを軽く吹け上がらせるのに必要な吸気効率が増加。
この効果はターボチャージャーを用いるエンジンではさらに顕著で、タービンが求める空気を短時間で取り込めるため、ブースト圧(過給圧)が早く立ち上がります。
ただし、吸気効率の向上に対し、燃料もそれに見合った増加ができなければ効果は薄く、機械式制御の場合は、空燃比の空気が極端にリーン(希薄)となり、エンジンの故障につながるほか、コンピューター制御でも吸気に見合った燃料で済む出力までパワーダウンする場合もあります。
他にも排気系や点火系など、総合的なエンジン周りのチューニングが必要となるため、スポーツタイプのエアフィルター交換だけでは、得られる効果は限定的になるほか、吸気効率が上がった分だけ異物がフィルターを通過しやすくなり、エンジンの寿命を縮めるリスクもあります。
スポーツタイプなど、交換ではなく洗浄の場合も
なお、純正、純正相当品では多くが紙などを使った使い捨ての乾式エアフィルターですが、スポーツタイプの社外品には、スポンジや紙のフィルターにオイルを染み込ませ、ある程度使用したらメンテナンスして再利用する湿式エアフィルターもあります。
湿式エアフィルターは洗って乾かし、またオイルを染み込ませるメンテナンス中はエンジンをかけられず、交換すれば完了の乾式に比べて、手間はかかりますが、前述した空気効率のよさによって、セッティング次第では性能向上に寄与するメリットは無視できません。
ただ、いまどきの高効率エンジンや、日産のe-POWERのごとく純粋に発電機として利用するエンジンには、そこまでのメリットは不要なため、用途に応じて乾式、スポーツタイプの湿式と使い分けた方がよいでしょう。