カスタム・アフターパーツ | 2021.05.11
現行HA36Sアルトワークスの人気チューニング!オススメと方向性アドバイス
Posted by 菅野 直人
スズキの軽ホットハッチ現行モデル、HA36Sアルトワークス。同種の車が皆無、強いて言えば現行ホンダN-ONEが近いものの、小型軽量ハイパワーという意味では、やはりアルトワークスの右に出る軽ホットハッチはありません。 2015年12月のデビューから5年、いつモデルチェンジされるのか不明ですが、そろそろ中古車も手頃な価格になってきているため、チューニングの方向性をいくつか紹介します。
以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください
SUMMARY
意外と多い、書き換えROMチューンで簡単パワーアップ
1990年代までならいざ知らず、2000年代以降は、自動車用ECUの書き換えが妙に上がってしまい、多少手を加えたところで統合された電子制御のどこに何がフィードバックされるやら…というわけで、よほどの人気車種で高額な費用をかけてもよい人向けになりかけていた書き換えROMチューンですが、どうもスズキ車は別格なのか?いろいろなショップが参入しています。
中でも手頃に思えるものをひとつピックアップすると、BLITZの「TUNING ECU for ALTO」で、現行HA36Sでもアルトワークスの5MT車専用というわけではなく、アルトターボRSにも対応しているため、5速AGS車でもOKです。
考えてみると、スズキの5速AGSは、AGS用ECUがあるくらいですから、エンジンとの統合制御はしていないのでしょうか?確かに自動ブリッピングで素早くシフトダウンなんてしないセミAT(というより自動MT)のため、エンジンECUを変えても問題ないのかもしれません。
ともあれ、ノーマル車両のECUをこのTUNING ECUへ入れ替えるだけで15.3馬力アップという結果が出ているため、64馬力のスズキR06Aターボが80馬力になるだけで、FFの5MT車であれば車重わずか670kgのHA36Sアルトワークスにはだいぶ効きそうです。
トルクカーブを見ても、3,600回転あたりをピークに緩やかに下っていくフラットトルク気味のノーマルに対し、3,000回転からグワッと盛り上がる上に、4,000回転あたりまで伸びていくため、より高回転域でのシフトアップが可能になって、ガンガン回して走るのが楽しそうです。
レブリミッターがノーマル7,000回転から7,800回転まで上がっているのも、クロスミッションなど組まずとも、「とにかくブン回してからシフトアップして、パワーバンドに入ったまま加速していける」というフィーリングが想像でき、240km/hまで引き上げられたスピードリミッターは少々大げさとしても、200km/h前後まで気持ちよく走れそうな予感がします。
ブーストアップは、ノーマル0.9kpaから1.2kPaになる程度ですが、それ以上を狙うとプラグ交換だけでは済まず、エンジンのヘッドガスケットやタービンの配管、さらにインジェクターや燃料ポンプも交換して燃料の増量まで視野に入ってきますし、基本は環境型高効率エンジンのR06AをノーマルのままECUポン付けチューンするのであれば妥当でしょう。
なお、ノーマルだけでなくエアクリやマフラー交換(もちろんセッティング対象はBLITZ製品)程度のライトチューンまで、このTUNING ECUでいけるようですし、基本はハイオクガソリンを使うスペシャルECUプログラムですが、レギュラーガソリンで走りたい、免許も大事だから140km/h以上ではブースト圧を下げたいという人向けにセーフティECUプログラムもあります。
お値段の方は純正ECU下取り(つまりECU書き換え料のみ)で5万円と、ストリートからサーキット走行までこなせるスペックの割には、かなりコストパフォーマンスが高いのではないでしょうか?
100馬力、130馬力とさらに上を狙えるメニューも見かけますが、そういうのは「ある意味で大人になってから(意味深)」でよいと想います。いずれにせよ軽で200km/h程度も出すと、慣れなていなければ、それなりに怖いですよ。
小型軽量安価な車であれば、ボルトオンパーツでのボディ補強は見た目も含めオススメ!
アルトワークスのような軽ホットハッチは、スーパーカーはおろか、GRヤリスや86/BRZのような「最初からスポーツ走行を視野に入れた車、それも世界基準の登録車(普通車)」と違って、とにかく「安い、早い、ウマイ」が信条です。
つまり安いからすぐに買えて楽しいということですが、それだけに値段なりのコストダウンがしてありますし、元が激安軽自動車のため、メーカーで多少補強が入ってると言っても「一般道で普通に走る限りは問題ない」程度と考えて間違いありません。
もちろんそれでもターボ車ですから、それなりにパワーがあるだけでも楽しいのですが、楽しむための腕がともなうほどにボディの負担は増え、歪んでは戻りで、ある時点からイメージ通りに走れずもどかしい思いをするはずです。
そこで、足回りを交換してみよう!と安直に考えると、さらにボディへの負担が増えて状況が悪化するだけのため、まずはボディの初期状態をシャンとさせるべく、補強パーツを組み込んでみましょう。多少重くなりますが、どのみち前項で紹介したようなポン付けECUでファインチューンすればチャラですし、それより補強が優先です。
そうした補強パーツのラインナップが豊富なのはクスコで、ざっと見た感じHA36アルトワークス用には以下の補強パーツがあります。
・パワーブレース シートレールプラス(左右2個1セットで税別17,000円)
・パワーブレース リヤトランクバープラス(2WD用と4WD用が別・どちらも税別20,000円)
・パワーブレース リヤピラー(税別12,000円)
最初の「シートレールプラス」は、運転席/助手席シートレールのリヤ側取り付けボルトに共締めするもので、レール左右間は床に這わせるような形状の補強材となっており、これだけでも左右Bピラー付近のフロア剛性がだいぶ上がるであろうことは容易に想像がつきます。しかも内装加工不要なのは嬉しいところ。
続いてリヤピラーは、Cピラー左右へ装着して天井を這わせるように補強材が走っており、内装に若干の要加工ではありますが、取り付け自体は基本これもボルトオン。ハッチバック車でテールゲート開口部付近の剛性は犠牲になりがちですし、HA36Sは使い勝手も考えてテールゲート開口部がことさら大きい車のため、効果は絶大でしょう。
後席のヘッドスペースや、後方視界を考慮して天井に曲げて這わせる形状になっていますが、本当はまっすぐな方が補強効果は高く、遠征の時など洗濯物も干せて便利なため、そういうバージョンが欲しい方はワンオフを試みてもよいかもしれません。
最後にリヤトランクバープラスは、ラゲッジスペースのフロア剛性アップに絶大な効果を発揮するだけでなく、競技用の4点式シートベルト取り付けにも利用可能です(ただし、JAF公認競技の車両規則には沿っていないので非対応)。
リヤピラーのバーもそうですが、ハッチバック車はとにかくテールゲート周りの補強で動きが変わってきますし、定番のフロントタワーバーや、今回クスコ製品には含まれていませんが、サイドシル補強かセンタートンネル補強と組み合わせると、それでようやくスポーツ走行用ボディの下地が出来上がります。
装着によって使い勝手や防振・防音性能に悪影響が出ることはありますが、チューニングカーとしては若干の不便に目をつぶり、むしろドレスアップ効果も楽しんでしまいましょう。
サスペンションは名を取るか実を取るか…名も実も取るか?
だいたい人気チューニングといえば、吸排気系を含めたパワー関係と車高調、ブレーキぐらいが相場なのですが、とりあえず大前提としてボディ補強を紹介した上で、いよいよ車高調です。
これも「全長車高調がイイ!」ですとか、「減衰力何段調整がイイ!」とかいろいろあり、アルトワークス用にもクスコからフロント全長調整式(リヤはスプリングシート調整式)でリアの減衰力14段調整など、スペック面で注目すべき製品が出ています。
ただ、サーキット走行やジムカーナで頑張るのでもないかぎり、車高にせよ減衰力にせよ一度決めたらそうそう変えない、最初は面白がってカチャカチャやるも、そのうち面倒になって調整の仕方を忘れてショップに駆け込むのが相場ですから(筆者だけかもしれませんが)、そんなものがなくとも構いません。
それより純正形状でもガッチリした乗り心地、低速域では少々硬めに感じるものの、速度域を上げるほどしなやかに、路面の凹凸もうまくいなし、コーナリングの横Gは「踏ん張る」という表現がピッタリなほど吸い付くように走ることができるサスペンションといえば、オススメしたいのはビルシュタイン系の「エナペタル」ですね。
競技用としても有名なオーダーショックのため、注文時に街乗りメインかスポーツ走行、それも舗装かダートか、レースかジムカーナかくらいは伝えた上で(エナペタルを取り扱う競技系ショップであれば、より細かいオーダーが可能なはずです)、フロントは現物下取り加工で、車高調整機能も減衰力調整機能もなしの純正形状であれば、1台分で税別146,000円。
名高いビルシュタインショックをこのお値段でいけるのであれば、変な激安車高調を買うより断然オススメで、スポーツ走行用のセッティングだとしても、街乗りに使っても不快な突き上げなどあまり感じられないのがビルシュタイン系の良いところです。
最後に、ブレーキは安易に考えず慎重に
人気チューニングにはブレーキ関係も含まれますが、いくら高性能になる!と言われても安易に手を付けない方がよいのは、大径ローター化や大型キャリパー化です。
サーキット走行で猛烈な高速域をガンガン攻めるというのであれば必須ですが、公道からジムカーナ、せいぜいちょっとしたサーキット走行程度であれば、単に重くて性能やフィーリング低下につながりかねず、見た目以上の効果は期待できず、おまけに装着するホイールまで制約が出てきます(大径ホイールしか履けなくなる場合も)。
基本、ミニサーキットでもジムカーナでも連続走行する場合、ブレーキの熱的負担は大きいため、低温域からも効くタイプのスポーツパッドに交換した上で、パッド表面の摩材を常にフレッシュな状態にして炭化を防ぐため、スリットローター化するくらいでよいでしょう。
このあたりはDIXCELあたりがブレーキローターもブレーキパッドも安価で、コストパフォーマンスも高い製品がラインナップされているため、ライトチューンからヘビーチューンまで愛好者が増えており、HA36Sアルトワークス用も当然ラインナップしています。
何ならショップコンプリートカーを最初から買ってもよい
ここまで「HA36Sアルトワークスで人気のチューニング」からオススメパーツや方向性をいくつか紹介してみましたが、あくまで既にアルトワークスを所有しているユーザー向けの「チューニング」における話です。
これから購入する方の場合は、お世話になってるショップであちこちから吟味したパーツを組み込むより、最初からコンプリートカーを準備しているショップへ行ってみてもよいかもしれません。
そうしたコンプリートカーは、トータルバランスが取れており、造ったショップが熟知しているパーツを使っているため、アフターケア面、あるいは後々になってセッティングやパーツの変更や追加を行うにも相談しやすく、とにかく最初から結果を出したい人にオススメです。
「チューニング」で育成していくか、「コンプリートカー」で完成品をいきなり味わいたいか、そこはユーザーの好み次第です。
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