旧車・絶版車購入ガイド | 2021.05.11
ホンダの自然吸気エンジン搭載スポーツセダンの決定版!シビックタイプR(FD2)とは!?
Posted by 菅野 直人
7代目「シビック」(EU)まで設定されていたハッチバックがついに8代目で消滅して4ドアセダンのみとなった時、ああこれでシビックタイプRはなくなったんだな…と思った人は多かったのではないでしょうか。それだけに1年4ヶ月後、4ドアセダンの3代目シビックタイプR(FD2)が登場したときには驚かされたものです。まだまだ現役で活躍しているFD2を中古車で買う時のポイントはどのようなものなのでしょうか?
以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください
SUMMARY
ホンダ「シビックタイプR」(FD2)とは
2005年9月、8代目FD型へとモデルチェンジした日本仕様のホンダ「シビック」には4ドアセダンしかラインナップされておらず、初代以来の2BOX車、7代目でも5ドアながらかろうじて残されていたハッチバック車がついに消滅してしまいました。
そうなるとタイプRはどうなるかという話になりますが、モデルチェンジから1年1ヶ月後の2006年10月には公式に新型「シビックタイプR」の登場が予告され、それも先代のようにイギリスから輸入するのではなく、国産の4ドアシビックをタイプR化すると発表されました(ただしイギリス製ハッチバック版タイプRも、タイプRユーロとして後に輸入販売)。
2007年3月に発売された3代目シビックタイプR(FD2)は、2代目同様2.0リッター直列4気筒自然吸気DOHC i-VTECの「K20A(R-Spec)」エンジンを搭載。ガチガチの足回りで、ドリンクホルダーに水の入ったコップを置くと普通に走るだけでほとんどこぼれるなど、一般的な4ドアセダン像としてあるまじき快適性で、面白がったメディアがあえて舗装の粗い道を走ってテストするなど、競い合うように格好のネタを提供しました。しかし、スポーツ走行では抜群の性能を誇る、4ドアセダンの形をしたスポーツカーだったのです。
もともと、4ドアセダンのタイプRとしては初代「インテグラタイプR」(DB8)が存在し、ファミリーカーとしても使えるスポーツカーを望むユーザーには三菱「ランサーエボリューション」やSUBARU「インプレッサWRX」同様に支持されていました。FD2もDB8同様に高回転高出力型i-VTECエンジンを搭載して“クルマを操る楽しさ”に秀でていたため、ドライビングプレジャーを求める系のユーザーに選ばれました。
ただし、当時の日本市場では売れ筋車種はほとんどミニバンやSUV、トールワゴンとコンパクトカーや軽自動車であり、4ドアセダンはスポーツカーやクーペ同様冷え込んでいました。さらに8代目シビックはボディサイズの拡大による3ナンバー化や排気量の拡大でシビックというより「アコード」にも見えるほどだったために通常グレードは不人気で、販売のほとんどはハイブリッドとタイプRのみとなりました。それゆえ、シビックそのものがこの代をもって、一度日本市場から姿を消すことになったのです。
ホンダ「シビックタイプR」(FD2)の中古車相場
大手中古車検索サイトによると2019年12月現在、シビックタイプR(FD2)の中古車相場は以下の通りです。
販売期間2007年3月~2010年9月
108万円~499.8万円 | 105台・ASK(価格応談):1台 (新車価格:283.5万円) |
※ワンメイクレース用のレーシングベース車(169万500円)もあるが、ナンバー取得不可。
高額車はチューニングされたショップデモカーや走行距離が約1,000kmの実質的に登録済み未使用車に近い車などで、実勢価格としては359.8万円が上限。また、新車価格477万7500円で無限チューンの「シビック MUGEN RR」も300台限定で販売されましたが、調査時点で中古車市場には流通していませんでした。
ホンダ「シビックタイプR」(FD2)のオススメは走行距離と価格のバランス次第
最高出力225馬力の高回転高出力型i-VTECエンジンに6速MTを組み合わせたFFスポーツセダンという、おそらくこの先発売されることはないのでは?という最後の車なだけに、走行距離の少ない程度良好車はプレミア価格がつき、走行距離15万kmオーバーでも100万円以上になる車です。さりとてこれ以上新しい同種の車が出そうにないために、年式の割に高くともそれだけの価値はあります。
もちろん走行距離が多いほど安くはなるのですが、搭載されるK20Aはあまり耐久性の面で褒められるエンジンではないため、ここはなるべく走行距離が少なく、それでいてなるべく安価な車を選ぶのがよいでしょう。
そういった車はオーディオレスなど装備面で何かが欠けているものですが、どのみち古いカーナビなど地図データが古くて更新しないと使い物になりませんし、アルミホイールにせよマフラーにせよ、購入してから適当な社外品で補いがつきますから、装備には目をつぶって走行距離と価格のバランスだけで購入することをオススメします。
ホンダ「シビックタイプR」(FD2)の中古車選びの注意点
FD2が他の歴代シビックタイプRと大きく違うのは「4ドアセダン」なことで、それゆえ開口部は小さくボディの剛性や耐久性という面ではもっとも有利です。
しかし、それゆえに実装可能となったガチガチの足回りはサーキットならともかく、公道を快適に走行するには全くの不適格で、前席ならともかく後席に同乗者を乗せての長距離ドライブはかなりの苦行となることを覚悟せねばなりません。ですから、車の程度云々以前にまず試乗してその硬さを体感し、特にファミリーカーとして検討しているなら、同乗者等から理解を得ることが欠かせません。
初代インテグラ4ドアタイプR(DB8)や、シビックフェリオのスポーツバージョン(初代SiRや2代目Si)からの乗り換えで安易にこのFD2をオススメできない理由は“快適性の無さ”に尽きますが、他にも独立トランクなので荷物やタイヤがあまり載らないなど、用途によっては同乗者意外にも気を使う点があることに注意が必要です。
車の程度については、K20Aエンジンが耐久性の低さにより、特に高回転を多用した場合はエンジンオイルの消費が早くなり、あまり頻繁にオイルを継ぎ足すようだとオーバーホールをした方が早い、という問題がありますが、走行距離よりもどれだけ高回転で走ったかによるので中古車選びでの見極めは困難で、とりあえず万が一のトラブルに備える予算を確保しておくしかありません。
ホンダ「シビックタイプR」(FD2)の中古車の維持費目安
乗り心地が非常に悪く、程度によってはエンジンオイルの消費が早く補充や交換が早めに求められるという以外はごく普通の排気量2.0リッターの4ドアセダン。そのため、日常的な維持費の増大はエンジンオイルくらいとなりますが、硬い足回りはそれなりのスポーツタイヤを要求しますので、性能を発揮して乗り回したいならタイヤ代は多めに見積もる必要があります。
自動車税については、初期型(2007年3月発売)が間もなく新規登録から13年以上経過による重加算税対象となりますが、まだ対象外ならば総排気量1.5リッター超2.0リッター以下の区分で39,500円(重加算税対象になると45,400円)となります。
実燃費は11km/L前後で、2019年12月現在のハイオクガソリン平均価格が約155円程度として、仮に月1,000km走るならば月14,000円程度のガソリン代がかかり、年間のガソリン代が約17万円に自動車税を合わせ、最低でも21万円程度が最低年間維持費の目安でしょう。
まだまだ各種の競技やスポーツ走行で現役車種というだけでなく、今後は最後の高回転高出力型FFスポーツセダンとして一層価値が高まりそうな車種だけに盗難率の上昇が予想されますから、駐車場や盗難防止装置、車両保険など盗難対策はしっかり整えておきましょう。その他、ユーザーの環境次第で変わってくる購入後の駐車場代やタイヤ代、車検代や整備代、任意保険代などは各自計算してみてください。