引用:Toyotacoronaexsaloon

旧車・絶版車購入ガイド | 2019.12.12

維持より買うのが難しい!見る目が問われる日産「180SX」の買い方

Posted by 菅野 直人

5代目日産「シルビア」(S13型)とは兄弟車であり、北米では日産「240SX」としても売らていた日産「180SX」。当初はシルビアほどの人気はありませんでしたが、6代目シルビア(S14型)が3ナンバー化してからは、貴重な5ナンバーのFRクーペとして評価されました。現在もドリフト等のモータースポーツユースで人気は持続しています。とはいえ1980年代末の車であることにはかわりありません。中古車として購入するにはどのようなポイントに気を付けたらよいでしょうか?

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以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください

日産「180SX」とは

1988年にデビューした5代目日産「シルビア」(S13型)は、「アートフォース・シルビア」というCMキャッチコピー通りのスタイリッシュなボディ形状によって、当時圧倒的な人気を誇ったホンダ「プレリュード」を蹴落とす大ヒットぶりでしたが、その一方で問題も抱えていました。

というのも、3代目日産「シルビア」(S110型)および4代目日産「シルビア」(S12型)はノッチバッククーペ(独立トランクつき)とハッチバッククーペ(テールゲートつき)の2種が販売されていたのにS13型ではノッチバッククーペのみだったため、S110型やS12型ハッチバッククーペ版からの買い替え需要も取り込みたい販売サイドからはハッチバッククーペの追加を求められたのです。

そこで日産はS13型の兄弟車でハッチバッククーペだった北米版の日産「240SX」(2.4リッター自然吸気エンジン)にシルビアと同じ1.8リッターターボエンジン(後に2リッターターボに変更)を搭載し日本向けとし、1989年5月に「180SX」として発売しました。

当時の北米では法規制により規定されたヘッドライト以外の使用ができず、その上でスポーツカーらしい低いフロントノーズを実現するには十分な高さへヘッドライトを設置できなかった関係もあってリトラクタブルヘッドライト車が多く、180SXもその例に漏れずリトラクタブルヘッドライトでした。

これがスーパーカーのように見えたことや、サーキット走行などで使うためのタイヤを運ぶには独立トランクよりテールゲートの方が便利だったこともあり、デートカー需要以外でも人気を得ました。

1993年にシルビアがS13型からS14型へモデルチェンジすると、同じS13型でデザイン違いの180SXもほどなく廃止されるかと思われましたが、S14型が3ナンバー化で大きくなり、かつデートカー需要が続くことに期待して曲線的なデザインを採用したため、S14型は硬派なドライバー達にウケず思わぬ販売不振に陥りました。
さらに中古車市場へ流れたS13型の走り屋人気が高まったこともあり、“新車で買える5ナンバーFRスポーツクーペ”として180SXは継続販売され、それは再び5ナンバーとなったS15型が発売される直前の1998年12月まで続きました。

基本的にはS13型と内外装が異なるだけでメカニズムやフロント部の骨格は共通だったため、180SXへシルビアのフロントを移植した「シルエイティ」やその逆の「ワンビア」といったカスタムカーも存在し、オリジナルの180SXやシルビアともども、手頃なサイズでスポーツ走行やカスタムベース車に最適な定番車として、発売から30年経過した現在も根強い人気を誇っています。

180SXの中古車相場

大手中古車検索サイトによると、2019年11月現在の180SXの中古車相場は以下の通りです。

前期型1.8リッターターボ
(販売期間1989年5月~1991年1月)
149.8万円~225万円:2台(うち1台はシルエイティ)
(新車価格:179万円~252.8万円)
中期・後期型2.0リッターターボ
(販売期間1991年1月~1999年1月)
58万円~281万円:106台(うち5台はシルエイティ)
(新車価格:193.7万円~267.6万円)
後期型2.0リッター自然吸気
(販売期間1996年8月~1999年1月)
49万円~199.8万円:18台(うち2台はシルエイティ)・ASK1台
(新車価格:184.8万円~205.7万円)

数年前まで1.8リッターターボエンジン「CA18DET」搭載車は捨て値に近い値落ち感があったこともありますが、近年はFRスポーツのタマ数不足やヒストリックカーの域に入ってきたこともあってか、価格はむしろ高騰気味です。

2.0リッターターボエンジン「SR20DET」、2.0リッター自然吸気エンジン「SR20DE」搭載車の方がかえってタマ数がある分だけ安価な車もありますが、シルエイティなどカスタムカーも含まれており、どのようなカスタマイズを受けた車かの確認は必須となります。

180SXのオススメグレード!ドリフトベースならどれでも可。スタイルのみならタイプS

180SXのグレード名は時期によって異なり、大別すると以下のようになります。

1989年3月~1994年1月

タイプI:ターボ車標準版
タイプII:ターボ車高級版
タイプIII:ターボ車最高級版。1992年1月追加。
※エンジンは当初1.8リッターターボのCA18DET、1991年1月以降は2.0リッターターボのSR20DET。
※それぞれ標準版と、日産独自の後輪操舵機構を持つ「スーパーハイキャスパッケージ」あり。

1994年1月~1999年1月

タイプR:ターボ車標準版
タイプX:ターボ車高級版
タイプX:ストラットタワーバーやスポーツマフラーなど、NISMO製スペシャルパーツを装備した特別仕様車で、1996年1月発売。
タイプS:NA車標準版。1996年8月追加。
タイプG:NA車廉価版。1997年10月追加。
※エンジンは2.0リッターターボのSR20DETと2.0リッター自然吸気のSR20DE。
※タイプRとタイプXには「スーパーハイキャスパッケージ」あり。

また、1.8リッターターボ時代を「前期型」、2.0リッターターボのみの時代を「中期型」、2.0リッター自然吸気が追加された時代を「後期型」と区別することもあり、それぞれフロントマスクやテールランプの形状が異なりますが、損傷からの修復時に異なる時期のパーツで補修することもあり、外観上の違いで型を判断するのはオススメできません。

かつては1.8リッターターボモデルや2.0リッター自然吸気モデルなどアンダーパワーなモデルや、FRならではのドリフト走行には支障となるスーパーハイキャス搭載車は中古車相場も安めでした。しかし、近年は改造が容易になったことや、元々人気があった2.0リッターターボの非スーパーハイキャスモデルはスポーツ走行に使われて経年劣化の激しい個体も多いことから、特定のグレードが特にオススメということはありません。そのため、「程度がよければそれだけ要修理の部分は少なく、不満がある部分は手を加えればよい」くらいの認識で問題なさそうです。

「憧れの180SXに乗りたいが、スポーツ走行は行わないので形だけでよい」というユーザーであれば、積極的なスポーツ走行にはエンジン換装を要するのでもっともカスタマイズ対象になりにくい、2.0リッター自然吸気モデルで程度のよいもの、特に標準でサイドシルプロテクターを備えるなど、形が整ったタイプSを選ぶとよいでしょう。

180SXの中古車選びの注意点

シルビア(S13型とS15型)ともども、「最後の5ナンバーFRターボスポーツクーペ」としてドリフトブームや走り屋ブームを牽引しただけに酷使された個体が多く、内外装の傷や凹みは元より、モノコック(骨格)へのダメージを受けているかいないかの判断が重要になります。

極端な話、公道での事故やサーキットでのクラッシュによりモノコックが重大なダメージを受けていても、「走ればよい」程度で十分なフレーム矯正など満足な修理を受けていないケースも考えられるため、目に見えての歪みやクラック(亀裂)、サビなどがないかどうか、ボディ底部を覗き込んだりボンネットなど開けられるところは可能な限り確認すべきです。

特にモノコックが歪んだ結果、テールゲートがキチンと閉まらない、閉まりはするが、隙間が開いて雨漏りするといったトラブルも考えられ、そうなると荷物を積むなど実用的な使用に支障が出るのはもちろん、溜まった雨水でサビが広がる元ととなります。

もちろん「ドリフト用に購入するので走りながら直しつつ使う」というケースも多いのでその程度は問題にしないユーザーも多いかと思いますが、スタイル重視で普段乗りのアシとして使いたいユーザーの場合は、とにかくモノコックが無事であるかどうかが最重要のチェックポイントです。

また、改造される機会が多い車に共通するポイントですが、装着されている部品は純正かどうか、純正ではないとして車検に通り公道を走れる状態かどうか(車検残があるとして、次の車検がそのまま通るかどうか)、タービンやエンジンなど正常に動くかどうか、実際に走らせて確認するしかありません。

さらに、社外メーターへ交換して走行距離不明となっている車は最初からあきらめもつきますが、車検証に走行距離が記載されるようになった以前の車であるため、過去に悪徳業者からメーター改ざんを受けていれば実際の走行距離はもっと多いことも考えられます。走行距離はアテにならないと思った方がよいでしょう。

180SXの中古車の維持費目安

現在でもサーキット走行やドリフト走行で活躍し、純正部品も中古やリビルト品、さらに社外パーツも豊富なので一般的な80~90年代の車と比べると安心して直しながら乗れる車ではあります。ただ、さすがに生産終了から20年もたつと新品の純正部品のストックが枯渇してきているので、部品の確保や部品取り車を用意しておくことも必要かもしれません。

自動車税について、180SXの中古車は全て初年度登録から13年超の重加算税対象車ですから、総排気量1.5リッター超2.0リッター以下の45,400円になります。

実燃費は2.0リッターターボモデルで7~8km/L程度なので、2019年11月現在のハイオクガソリン平均価格が約153円程度、仮に月1,000km走るならば月20,000円程度のガソリン代がかかり、年間のガソリン代が約24万円に自動車税45,400円を合わせ、最低30万円程度が最低年間維持費の目安でしょう。

その他、駐車場代やタイヤ代、車検などの整備代、任意保険代などはユーザーの環境次第なので、購入後にどのような維持費がかかるからは各自計算してみてください。

2.0リッター自然吸気モデルだともう少々ガソリン代が安く上がるほか、エンジンオイル管理はターボモデルほどシビアではありません。ただ、ターボモデルの場合はオイル管理だけでなく、経年劣化に応じたラジエターなど水回りの管理にも十分なメンテナンスが不可欠です。

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