カスタム・アフターパーツ | 2021.07.08

ブーストアップはターボならではの醍醐味‼ブーストコントロールの役割を理解しよう!

Posted by KAKO MIRAI

ターボに乗っていると、一度は頭をよぎるブーストアップ。手軽にできるチューニングとしてよく耳にする言葉ではないでしょうか。しかしエンジンに関わるパーツなだけに、知識もなくブーストコントローラに手を出すと、エンジン損傷の可能性もあります。まずはじっくりと知ることから始めてみましょう。

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ブーストコントローラとは

ターボチャージャーやスーパーチャージャーエンジンは、酸素をより多く取り込むことで高い燃焼エネルギーを得ています。つまりエンジン出力は、シリンダーに送り込まれる空気の量で決まるのです。

つまり燃料の燃焼は、空気の重量と燃料の重量の比率である空燃比が、最大出力の付近で最も効率が良いもの。そこでシリンダー容積よりも大きい空気を圧縮してエンジンに送り込むことで出力を向上させています。

ブーストとは圧力を与えることです。『ボイルの法則』から分かるのは一定温度では、気体の圧力Pと体積Vは反比例するという法則(PV=一定)であるということです。このことからブースト圧(圧力)が分かれば、エンジンに送る空気の量(体積)もわかるということになるでしょう。

そして圧力をコントロールすることができる装置であることからブーストコントローラと呼ばれているのです。過給機で取り入れた吸入空気の過給圧は過給機の耐久力以上の過給圧がかかると損傷する可能性もあります。

ここからはブーストをコントロールするパーツごとにどのような役割をしているのかご紹介していきましょう。
・バイパスバルブ
ブースト圧が増加するとバイパスに設けられたバルブを開けて、排気ガスを逃がす役割を担うものです。エンジンを壊さないための安全弁のような役割を果たしています。バイパスバルブはコンピュータ制御されており、温度や気圧など最大ブースト圧を変化させるものを詳細に判断してコントロールするものです。

バイパスバルブに使用されているのは2種類。アクチュエータ式は、バイパスがターボチャージャー側に設置されるものです。ターボチャージャーと一体型にするもので、バイパス経路の開口部を大きくすることができません。

アクチュエータ式は純正採用されている車も多く、小型化されたターボチャージャーに取り付けられています。もうひとつはウェストゲート式。こちらはバイパスが排気管側に取り付けられるものです。

タービンの前に取り付けることが可能なため、大型のターボチャージャーの場合にはウェストゲート方式が採用されることが多いでしょう。

ブーストコントローラは、新たにバルブを設置して意図的にバルブの開閉を行うものです。過給圧を制限あるいは調整することでパワーアップやレスポンスアップを図るものといえるでしょう。

ブーストコントローラの種類

ブーストコントローラの種類は以下の2種類です。

・VVC


Variable Valve Controllerの略で、機械式ブーストコントローラのことをいいます。ダイヤル式で、アクチュエータやウェストゲートの空気圧を開けたり絞ったりの調節を行うもの。

比較的安価なものが多いですが、コントロール精度が一定ではありません。そのためブースの設定が合いにくいことや不安定な点がデメリットです。設定されているブースト値を超えてしまうオーバーシュートを起こすことも。

一瞬であればそれほど悪影響はありませんが、長い時間になるとエンジンの損傷につながります。現在ではあまり使用されていません。

・EVC


Electronic Valve Controllerの略で、電子制御で車内から過給圧設定の変更を行うことができる優れものです。レスポンスが良く、コントロールがしやすい点はメリットといえるでしょう。

しかしVVCよりも高価なものが多く、過給圧をコントロールするモータなど、熱に弱いという欠点もあり、設置する際には注意が必要です。現在のブーストコントローラは、ほとんどがEVCとなっています。

ブーコンといえばこのメーカー

ではここからブーストコントローラが有名な社外メーカーをご紹介していきましょう。

・HKS

ブーストコントローラは、ブーコンと呼ばれることもあるパーツです。上記でご紹介したEVCですが、実は1987年に『HKS』 によって開発された商品でした。しかし現在では電子式ブーストコントローラを指すパーツとして定着しています。

2020年に7代目が開発され、1987年から数えること7代目を迎えました。現行車においては、過給圧のコントロールシステムが複雑化しており、社外品ブーストコントローラの取り付けができない車種も存在しているようなので注意が必要です。

新型の「EVC7」には、4つのパターンの最大ブースト圧が使用できるようになっています。またダイヤルをまわせばマニュアルで最大ブースト圧を変更することも可能です。もちろんエンジンの安全性を確保するために、ワーニングブーストも設定。

「イージーモード」のほかには「プロモード」もあり、マッピングによる詳細な設定も可能にしています。

商品価格:71,500円(税込)

・トラスト

『トラスト』が手掛けるブランド『GReddy』は、モータースポーツ界で広く名前を知られる存在です。かつては『富士スーパーシルエットレース』、『全日本耐久選手権』、『ル・マン24時間耐久レース』などに参戦。現在でも『D1GP』に参加しています。
マフラーで有名になった企業ですが、ブーストコントローラでも人気を得ているメーカーです。『GReddy』からは「プロフェック」という製品が開発されています。シンプルな操作性で、上級者から初心者まで幅広く使用することができるのではないでしょうか。

コンパクトなボディサイズでありながら、ダイヤル式が採用されており、直感操作を可能にしています。小型で大容量のソレノイドバルブを使用し、CPUの速度を向上させたことで、ブーストの安定が実現。

便利な多機能が搭載されており、ブースト表示は3パターンから選択可能。またブースト設定にはLo、Hiに加えスクランブルモードもあります。ワーニング機能には、作動時に設定された分だけブーストを下げるリミッター機能も搭載されました。

価格:47,800円(税込)

・BLITZ

カーチューニングメーカーとして名を馳せるブリッツは、あらゆるパーツを企画から販売しています。中でも電子系パーツを得意としており、ブーストコントローラもその一つといえるでしょう。

ブリッツからは「SBC ELECTRIC TUNING SYSTEM」の「Type S」と「Type R」が販売されています。コンパクトでフラットなボディが新採用され、厚みはわずかに12mm。コントローラ、ユニット、バルブの3ピースで、設置場所も柔軟に対応。

ブースト制御のアルゴリズムを見直し、新開発されたソレノイドバルブを組み合わせたことで、安定性が格段に向上しています。目標とするブースト圧への素早い立ち上がりと、オーバーシュートの軽減に加え、ブーストドロップまで制御を行う優れた性能を発揮。

ブーストの立ち上がりを決める値であるGAIN値は、チャンネル別に設定することができます。さらにP-GAIN値を設定することでピークを過ぎたポイントを読み取りブースト圧を安定させる制御も行うことを可能にしました。

その他、リアルタイムブーストメーターの表示やワーニング機能、ピークホールドなどは標準搭載です。「Type S」はシングルソレノイドバルブを使用し、「Type R」はツインソレノイドバルブを使用している点が異なっています。
価格Type S:35,000円(本体価格)
Type R:49,800円(本体価格)

ブーストアップの注意点

ブーストコントローラを設置することは、比較的ハードルが低くお手軽チューンといわれています。エンジン性能を向上させるには、手に入れたいチューンのひとつかもしれません。

しかしエンジンにかかる負荷は想像以上であり、エンジンの損傷につながることも念頭に入れておく必要があるでしょう。ノーマルから無理矢理ブーストを上げようとすると、ブーストリミッターが作動しエンジン警告灯の点灯のほか、タービンの損傷も考えられることです。

ブーストリミッターの解除、ピークブースト値の設定など、さまざまなセッティングは専門知識のあるショップに相談することをおすすめします。

まとめ

ブーストコントローラでブーストアップを図ることは簡単なようで、知識がないとエンジンに悪影響を及ぼすことが考えられます。ブースト値の設定値は、あまり欲張らないほうが良いかもしれません。

ブーストアップと同時にエンジンの耐久性は悪くなる可能性があることを十分に理解してから行いましょう。愛車を大切にしながら、スポーツ走行を楽しむことが重要ではないでしょうか。

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