引用:Sergey Kohl / Shutterstock.com

コラム | 2021.05.11

憧れの旧車レストア!いくら用意すればできるのか?

Posted by 菅野 直人

クルマ好きにもいろいろなジャンルがありますが、どんな趣味でも歴史や原点を知ることは、その趣味をより楽しむためのスパイスとして最高の素材であったりします。しかし実際に歴史的なヴィンテージを知識だけとせず、我が物にして楽しむには相当なお金が必要となるもので、クルマであれば、さしずめ「旧車のレストア」ということになりますが、果たしていくらかかるものなのか、そしてお金を積めば誰にでもできるものなのでしょうか?

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そもそも「旧車」とはどのくらい古い車を指す?

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旧車と一口に言ってもいろいろあり、ひと昔前までは生産終了から10~15年を過ぎれば走行に必要な重要部品さえも入手が困難になり、「旧車」の域に達し始めるなどと言われていたものの、近年はモデルライフが伸び、コストダウンの関係で改めるべきところは新開発しつつ、使える部分は数十年前の車から改良しつつ使い続けていたりします。

そのため、1980年代までは「10年もすれば旧式」(そもそも1995年までは10年落ち以上になると毎年車検でした)であったのが、1990年代も半ばを過ぎると「1980年代の車など旧車のうちに入らない。20年もすれば旧式」へと変わってきました。

さらに2010年代になると、「1980年代後半のバブル時代の車は豪勢なつくりで、旧車とはs一線を画する!30年もすればようやく旧車だろう」となり、2010年代も末になってようやく1990年頃のバブル時代の車も部品や中古車市場のタマ数が枯渇したことにより、30年落ち以上の旧車と呼ばれるようになりかけています。

実はこの記事を書いている筆者も、2020年現在では31年落ち(1989年式)に乗る明らかな「旧車」乗りであり、それもマイナーな軽自動車のため、ヒストリックカーイベントに行っても「まだ新しい割に珍車」という扱いでした。

マイナーな車であるがゆえに、旧車として乗り続けるためのノウハウがかえって確立されていないため、会場まで数百kmを自走してきたことに驚かれたりもしました。

そういう意味で「旧車」とは、ただ古いわけでも、中途半端に古くて旧車としての知名度が低いわけでもなく、「まだ円安ドル高で国際的には『安くてよく走る日本車』であった時代(つまり日本経済が劇的変化を起こした「プラザ合意」のあった1985年以前)に、オーナーによる愛着が染み付いた1980年代前半以前の車である」、と定義できるかもしれません。

まだ自動車先進国の模倣から抜け出せないまでも、道路事情が悪かった時代の日本をたくましく生き抜いた、1960年代までの車。

ようやく性能も信頼性も世界に追いついたと思いきや、厳しい排ガス規制やオイルショックによる燃費性能の追求に追われ、世界に先駆けて克服するも、末期には先進的な車を生み出し始めた苦闘の1970年代を生き延びた車。

そして現代でも通用しそうな、フラッシュ・サーフェス化されて空力的にも洗練されたデザインになった1980年代前半の車が「最新の旧車」で、そこに近年は筆者も乗る1980年代後半の車も加わってきつつあります。

レストアの前に大前提!「旧車に乗るのであれば、レストア済みが一番」 

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さて、そうした「旧車の定義」を踏まえた上で、仮に2020年代の現代においてそれらの車を所有し、実際に運転して実用にも供する場合、最適の方法は何かといえば、「既にレストア済みの車を、専門店やレストア能力のある業者から買う」のが一番です。

その理由はこの記事をさらに読み進めればわかりますが、とにかく旧車のレストアとは容易なことではなく、ただお金を積めばできるというものでもなく、レストアした後のことまで考えれば、最初に余計なお金や手間をかけないに越したことはないからです。

近年の車のように、電子制御でブレーキやスロットルをコントロールなどしてくれませんし、コンピューターと名がつくものは電子制御インジェクション(燃料噴射装置)のコンピューターがあれば御の字です。

パワーウィンドーやエアコンはついていても、正常に作動するか怪しかったり、容量不足であったり、パワステなどがなかったり、オートマもCVTはもちろん3速ATであればマシな部類で、2速ATやよくわからない負圧制御のオートクラッチ車があったりします。

もちろんABSなど高級車に機械式があったくらいで、場合によってはブレーキサーボ(倍力装置)もなく、ほとんど全ての操作は「本当の意味で人間がやらなければならない」わけです。

一応は警告灯じみたものがついていても、何か故障した時にユーザーへ確実に不具合を知らせてくれるとは限りませんし、ちょっと手を抜くと故障や不具合の元になります。

完調でもそういうリスクがつきまとうのは旧車の宿命のため、レストア前の何か不具合を抱えているかもしれない旧車を買ったところで、それが本調子なのかもわからず、気が付かないうちに状態を悪化させることさえありえるでしょう。

そのため、どうしてもレストア済みの車がない場合を除けば、どれだけ高くともレストア済みの車を買うのが、結果的にはもっとも安く旧車に乗ることができますし、せっかくレストア済みの車があるのに、わざわざそうでない旧車を値段が安いからという理由だけで買うのは、絶対にオススメしません。

なお、可能であれば単にレストア済みなだけでなく、電装系や点火系などが、ある程度近代化され、信頼性の上がったものを選べば言うことはないため、無理にフルオリジナルへこだわる必要はないと思ってください。

レストア苦難の道:その1「誰にレストアを頼もう?」

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最近では、トヨタが2000GTやスープラの、マツダがロードスターやRX-7(ただしFCやFD)の、日産がスカイラインGT-Rなどのパーツを部分的にですが復刻販売し始めていますし、日産やマツダ、ホンダは名車と呼ばれる車(スカイラインGT-RやNSX、ロードスターなど)に限り、メーカーとしてレストアメニューの提供さえ始めています。

しかし、それも比較的新しい名車であったり、一部の部品復刻にとどまるため、結局はレストアを引き受けてくれる業者を探し出し、自分の車をレストア可能かどうかの判断を仰がなくてはなりません。

しかし、自動車整備工場であればどこでもできるという仕事ではありません。もはや一部のプロフェッショナルを除けば、マニュアルに書かれた部品交換やオイルなどの消耗品交換程度しかできなくなった正規ディーラーなどは全く頼れず、何十年と車をイジり続けて苔むした職人や、よほど好き物で凝り性な整備士が経営または勤めているショップでないと、手に負えないのです。

何しろ整備士になって30年という「職人」でも、ディーラーメカとして新人の頃には既に機械式キャブレターなど目にする機会もほとんどなかったという時代になったため、まずは「古今東西あらゆる車を手掛けた経験があり、柔軟な発想のできる経歴を持った職人探し」から始めないと、レストアなど始めることができません。

しかし、そうした職人はそもそも有名なため多忙すぎてレストア開始がいつになるかわかりませんし、知る人ぞ知る存在となると、人づてに噂をたどるような話になり、今どきのSNSを使った交流程度ではマトモに巡り合うのはいつになるやら?

まずはレストアして乗りたい車のオーナーズクラブなどへ接触を取り、根気強くその車に詳しい職人か、あるいは車であれば何でも選ばない職人を見つけ出すべきでしょう。

場合によっては、この段階で数年かけても良いくらいで、適当な車屋へ飛び込んでイチかバチかで始めても構いはしませんが、相当なリスクと時間はかかると思った方が良いです。

 

レストア苦難の道:その2「はたしていくらかかるのだろう?」

そうした職人を見つけたとしても、すぐにレストアが始まるわけではありません。まずはベース車探しですが、車種によっては、もはや国内にまともな個体が残っておらず、世界のどこかで現役の車を調達してくる場合もあれば、解体業者から手に入れてくるケース、あるいはどこかの田舎の納屋などで原型を留めている車を譲ってもらうなど、ベース車探しのパターンはさまざまです。

車としての原型が残っており、書類も揃っていれば良いですが、中にはかろうじてその車と分かる程度で書類も見つからないため、車台番号や販売店の古い台帳などを頼りに書類から起こすケースさえあります。

ベース車が手に入ったところで、今度は部品など復刻部品が再販されている名車以外、純正部品が一台分揃うことなどまずありませんし、場合によっては、図面を引いてイチから特注することさえあり、まさに「時価」となります。

フルオリジナルにこだわらなければ、とにかく形だけでも整えるのは難しくないため、とことんこだわるか、妥協すべきところは妥協するか、常に選択を迫られますが、そこは前もってレストア業者とよく話し合い、方向性を決めておくべきです。

なお、この時点でも「職人の経験」はモノを言うもので、整備解説書を見て純正品番から一応メーカーに問い合わせて「とっくに廃版です」と言う人もいれば、最初から工業規格品のリストを見て汎用品から適合するものを選び、なんとか組み合わせて形にする人までさまざまとなります。

その車種に詳しいプロフェッショナルであれば、比較的新しい車の部品の流用知識があったり、部品取り車のアテがあったりで、費用や時間はかなり節約されるため、その意味でも職人選びは重要と思ってください。

そのため、「いくらかかるだろう?」は車種やその程度、年式、残存する現役車両や部品取り車の数、そして職人の知識や経験によっていくらでも変わってくるため、「時価」としか言いようがありません。いくら予算を準備したところで、それよりはるかに安く済むかもしれませんし、1,000万円準備しても足りないかもしれません。

一つだけ言えるのは、変にリスクを負ってレストアに金をつぎ込むより、最初からレストア済みの車を購入して、その後のメンテナンスもその業者に任せるのがまず確実で安く済むということです。

レストア苦難の道:その3「中途半端に古い旧車は、格安車をフルオーバーホールすべき」

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ここまでは30~40年以上前の「本気の旧車」の話ですが、15~30年前くらいまでの「旧車直前から、ちょっと古い程度の車」の場合は、若干話が変わってきます。

それまでレストアを受けていないため、程度こそ年式なりなものの、最近まで現役で走っていたような車の場合は、走行距離が少なく、塗装や内外装がそれなりにしっかりしていれば比較的高値で販売していることも少なくありません。

しかし、そうした「パッと見でキレイな中古車」と言っても、片足を旧車の域に突っ込んだ車には違いがないため、購入直後はピンピンしていても、すぐ故障や不具合に見舞われる可能性は少なからずあります。

そのようなリスクのある車を高価で買う場合、買ったお店がその車についてのノウハウが豊富で、何ならレストア経験もあるほどというならば、そのまま不具合が出ても面倒を見てもらえば良いのですが、単に売りっぱなしのお店な場合は買ってすぐ困ることになるでしょう。

それくらいならば、最初からエンジンオーバーホールまでできるようなショップに声をかけ、程度はどうでも良いので格安中古車を購入した上で、そう簡単に壊れないアーム類などを除いてゴム部品やベアリング、電装系や点火系、燃料系、駆動系、ラジエターなどの経年劣化で新車同然といかない部分は、新品か中古部品を再生したリビルト品へ交換してしまうのです。

その上でエンジンやミッションもオーバーホールしてしまえば、多少は費用がかかっても、程度は良いように見えてもレストアまではしていない高価なフルノーマルワンオーナー中古車を買うより、よほど安心して乗ることができます。

やはりこれも費用面は「時価」となりますが、その車種の中古車でもっとも高価な車が一つの目安にはなるでしょう。

レストア苦難の道:その4「乗り続けるためにも主治医になってくれる業者は大事」

ここまで費用面では「時価」という漠然としたものしか示せませんでしたが、いよいよ納車されて維持の段階になると、レストア済みの車を売っている業者、レストアを任せられた業者、オーバーホールを頼めた業者との付き合いがあれば、その後の維持費についてもある程度のアドバイスを得ることができると思います。

「程度が良さそうな中古車だからといって、安易に手を出さない方が良い」というのは維持まで考えた上での話で、ある程度確保しておかなければいけない予算の把握をした前提で、

「信頼できる業者との付き合いを持てることが、レストアした車を手に入れたあなたの財産」ということです。

憧れの旧車をレストアして乗りたい!と夢見るならば、お金の話もさることながら、良い業者や職人との出会いや、出会うための機会を大切にしましょう。

お金はいくらかかろうとあなたが頑張って稼げば済む話ですが、良い人との出会いはただお金を積めば良いというものではないため、「いくら用意すればできるのか?」と考える前に、まずは手間を惜しまず、目指す車に関わっている人へ、ひとりでも多く出会ってください。

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