カスタム・アフターパーツ | 2021.05.11
エンジン載せ替え、したことありますか?する際の目安費用は?
Posted by 菅野 直人
元から車に搭載されているエンジンを他のものへ載せ替えるのが「エンジンスワップ」です。チューニングの世界では割と日常的に行われていることであり、古くなって性能が落ちたり、壊れたエンジンを交換する際、思い切って踏み切る人もいるでしょう。具体的にはどのような手順で行われ、どのくらい費用がかかるのでしょうか?
以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください
クルマの性格を根本的に変える「スワップチューン」
クルマ談議で「あのクルマはどうだ、こうだ」と話しているうちに、「このエンジンが載っていればなあ…」という愚痴や不満がこぼれるのはよくある話です。
大抵の人は、「売っていないのだから仕方がない」で終わるのですが、クルマの世界で割とドップリ沼にハマっている人は、アッサリと「え?じゃあ、つくればよいじゃない?」と言ってしまいます。
エコばかりが売りで、高性能エンジンが搭載されていない車、そうしたエンジンが搭載されていながらもオートマしか設定のない車、ちゃんと高性能エンジンとMTの組み合わせはあるけれども、もう新車では売っていなくて中古車でも滅多に売っていない車などありますよね。
そうした車を根本的に変えてしまうのが「エンジンスワップ」、すなわちエンジンの載せ替えで、場合によっては車検証の記載事項も変わらないため「マル改」にもなりません。
「あのエンジンが載っていれば、この車を買うのに…」というお悩みはエンジンスワップで一気に解決できます!
エンジンスワップの例
エンジンスワップの目的は、おおむね「もっとパワフルなエンジン積んで速くしたい!」という目的が多いと思われるため、必然的に対象のほとんどは、セダンやクーペのスポーツモデル、あるいはハッチバック車となります。
ある意味、車検なりその国の法律の範囲内、そしてユーザーの予算内であれば、車の改造など何でもアリですから、海外ではチューニングの定番、旧ミニにV8エンジンを載せてみたり、マツダのロータリーエンジンを改造してベースの2ローターから4ローター、果ては6ローターへ改造して載せてしまう例もあり、スペース上の問題があれば車体を切った貼った伸ばしたまでして載せ替えることも珍しくありません。
日本では、保安基準など法律の関係で、あまりイジると書類を提出し、組み合わせる部品の耐久性まで証明する必要がありますが、それでもロータリーエンジンをAE86へ搭載してみたり、逆にロータリーターボのマツダFD3S型RX-7へ、アメリカンV8エンジンを載せる例もあります(パワフルで低速トルクがあって速く、燃費もよいそうです)。
一番単純なのは、「その車種の他グレード、あるいは派生車種に搭載されているエンジンへのスワップ」で、元から搭載できるだけのスペースがあるという「根拠」があるため、NA(自然吸気)エンジンの車へ他グレード、あるいは他車種のターボやスーパーチャージャーエンジン、あるいはNAでも可変バルブ機構のついた高出力エンジンを搭載するのがもっとも一般的です。
車検証上のエンジン型式が同じであれば、何の届け出もいらないため、たとえばトヨタの3S-FEエンジン搭載車の場合、車検証では「3S」でしかないため、3S-GEでも3S-GTEでも載りますし、ダイハツの場合、EF-SEエンジン搭載車が車検証上で「EF」のため、EF-VEやEF-DETへの載せ替えであれば、何の届け出もいらず、マル改にもなりません。
費用は30~50万円程度が目安
元々その車に積んでいるのと型式が異なるなど、車検証上で無関係なエンジン(例えばAE86へ4A-Gから4A-GZEではなく、3S-GTEを載せたいなど)の場合は、必要な書類を提出、改造車検を経て車検証に「マル改」がつくなど面倒な手続きがあり、技術云々以前に面倒なため手がけないショップが多いかもしれません。
しかし、同系統エンジンのスワップであれば、ECU(コンピューター)や配線、場合によっては燃料ポンプやミッションなど一式丸々交換にはなるものの、車検証の記載事項変更に関わる手続きまで必要ない場合が多いため、ハードルは低く、手がけてくれるショップも増えてきます。
基本的には、エンジン脱着が可能な設備と工具、電気系の配線図を読み取ることができる知識などがあれば可能で、新たにそろえる必要のあるエンジンや部品、工具、作業工賃にもよりますが、費用はおおむね、30万円台から50万円台と見ておけばよいでしょう。
性能が違うエンジンへ載せ替えるには、エンジンだけでなく燃料系、電気系、冷却系、吸排気系、過給機など補機類も交換し、コンピューターも当然交換、場合によっては車内のメーター類なども交換や増設が必要になるため、ある程度の手間と費用がかかるのは仕方がありません。
それでも安価なベース車に、部品としてはそう高くない純正エンジンの組み合わせで、「理想の車」ができあがるため、メーカーお仕着せの新車を買うよりエキサイティングな1台を手に入れたいと思えば、安いものです。
一番面倒なのは「存在しない組み合わせ」
スワップチューンには、エンジン以外にもミッション(ATからMTへ)やブレーキ(大容量ブレーキやキャリパー、ディスク交換)の載せ替えもありますが、基本的に他グレードや派生車で搭載されていれば、さほどハードルは高くありません。
面倒なのは、「そのエンジンにはATしか組み合わせがないけれど、どうしてもMTにしたい」という場合で、MTとの組み合わせで設定されたECUが入手できない場合、AT仕様のECUではATからの信号が来なければ、エンジン始動すら不可能です。
そうなると、「サブコン」と呼ばれる補助コンピューター的な部品でどうにかなればよいのですが、それも無理な場合、「フルコン」と呼ばれる、ワンオフECUを組み込まねばならず、その場合は数百万円を要することもあります。
ミッション以外にも、「電子制御4WDしか設定のないエンジンを2WD車に積む」ケースなども面倒で、いかに「エンジンスワップが容易」と言っても、安く済ませたい場合は、ベース車選びを慎重に行うのが肝心です。
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