コラム | 2021.05.11
遊びも仕事も日常も。便利な軽トラをカスタムしてレジャーに行こう!
Posted by 菅野 直人
たとえば田舎で、農家で、酒屋で、町工場で、そして運送業で…皆さんのもつ“軽トラ”のイメージって、だいたいはこれらのジャンル、これらの枠内に収まるのではないでしょうか。しかし、実は本格オフローダーに準ずるほどのタフネスさとカスタマイズの自由度があり、イジればこれほど面白いクルマはほかにはなかったりします。今回は、『そんな軽トラでレジャーに行くなら、こんなベースでこんなカスタマイズはどう? 』をご提案します!
以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください
SUMMARY
ベース車はレギュラーと大型キャビン、デッキバンもあり
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軽トラといえば一般的なのは、運転席も助手席もシートスライドやリクライニングは多少できるかまったくナシ、ヘッドレストに至っては後ろの壁に貼ってある程度…という印象があるかと思いますが、実はそうしたレギュラー仕様のほか、大型キャビンの軽トラも多く存在しています。
古くは1983年からダイハツが販売している「ハイゼット ジャンボ」が長らく独占状態でしたが、軽トラにレジャー用途の可能性が見出されたことも手伝って、2018年にはスズキも「スーパーキャリイ」を発売しました。どちらも荷台をちょっと縮めた代わりにキャビンを後方に延長しており、通常の軽トラより広く快適で、リクライニングも大きなシートが採用されているのが特長です。
ビジネス用と割り切る向きには荷台が短くなった分だけ積み荷が制限されて仕事に差し支えるケースもあるかと思いますが、レジャー用途ではいくらかそうした縛りもゆるくなることが考えられ、何より長距離移動での快適性に大きな差がつくので、レジャーに出かけた際の体力の温存を考えるか? 積み荷の自由度を取るか? に関しては、ベース車選びにかかっているといえるでしょう。
なお、軽トラの大きな欠点である “2人乗り” や、大型キャビン車でもこれだけはかなえられない “フルリクライニング” が欲しいという場合は、「ハイゼット デッキバン」のような “2列シート4人乗りキャビン+小さいながらも荷台” というクルマを選ぶという一手もあります。
軽トラでもキャンピングは可能!むしろ軽1BOXより自由度は高い?
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軽トラでレジャーといえば、頭に浮かぶのはやはりキャンピングです。ミニバンやトラックを改造した場合はそれなりの駐車料金や維持費がかかり、レジャーに使わない時には乗用車としてはとても不便ですが、その点、維持費が安く駐車スペースの制約も少ない軽キャンパーは日本だとなかなか魅力がある選択肢だと思います。
軽トラの場合は軽1BOXより車内スペースこそ狭いものの、キャンピングカーの “部屋” はあくまで積み荷なので、道路交通法で定められた積載物の制約である長さは、車体全長の1/10まで(だいたいどの軽トラでも同じで、現行モデルなら3,395mm×339.5mm=3734.5mm)、高さは地面から2.5mまで、幅は車体幅まで、最大積載量350kgの範囲内と、実は軽1BOXより自由度が高いほどです。
もちろん、駐車場所は天井が高いところに限られますし、鉄道のガード下など全高制約の厳しいところは走れなくはなりますが、部屋の上部は折りたたみ構造にしておき、普段はキャビンのルーフ高程度に収めておけるという旨味もあります。
通常サイズの軽トラならもともと荷台長は1,940mmほどありますから、よほど身長の高い人でなければ縦に寝るのは十分ですし、定員2名の寝床を確保したうえでスペースを最大限有効利用したいなら、ルーフテントなどをマウントして寝床として活用すれば、荷台上の1階はまるまるキッチンやリビングとして使うことも可能です。しかも、 “部屋” をレールなどで切り離した上で地上へ高床式的に固定といった工夫が出来れば、その間は普通の軽トラとして使うことも可能です。
本格的なキャンパーは費用や普段の使い勝手の点でちょっと問題がという向きも、軽トラならば荷台にテントを設置して、エアマット式のベッドを置くだけでも十分に快適な簡易キャンパーとなり得ます。
濡らしたくない、かさばる荷物。を便利に運ぶならパネルバン、という選択肢も
“パネルバン” や “幌バン” と聞いても、トラックを普段仕事などで使わない人にはピンとこないでしょうが、運送業者などがよく使っているキャビンのルーフくらいまでは金属製パネルでその上は妙に高い幌がついたクルマといえば、想像がつくはずです。軽トラでも背の高い積み荷を載せるのに便利なのでよく走り回っていますが、レジャー用途でも濡らしたくないけどかさばる積み荷、たとえばキャンプ道具やバイク、携帯家電などを運びたい時には、とても便利だったりします。
運送用の軽パネルバンや軽幌バンだと内側からの開閉機構がなく(ただしスペース上は十分)、かつ左右扉がないので荷物の積み下ろしが後方からしかできないのでレジャー用としては少々使い勝手の悪さを覚えると思いますが、軽トラへの架装を得意とする業者には “上開き3方開き式のパネルバン” や “側面扉付き幌” などといった製品をラインアップしていたり、あるいは特注で請け負ってくれたりするカスタマーも存在しています。
豪快にリフトアップして軽トラ界のジムニーを目指せ!
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軽オフローダーといえば最強なのはもちろん「スズキ ジムニー」ですが、軽トラも4WDならジムニーに負けず劣らずのオフロード性能を潜在的に誇っており、なかなか侮れません。
厳密にいえば、現行の軽トラではフレーム前部とキャビンは一体式になっているので、前部モノコック、荷台がある後部はフレーム式のセミモノコック構造(そのためキャビン加工は改造申請が必要)です。サスペンション類もストラット式のフロントは上がフレームではなくキャビンのモノコックに装着されていますから、さすがにタフさではジムニーにかないませんが、それでもブラケットを挟んでメンバーを下げ、ロングタイプのショックアブソーバーや大径タイヤを装着すれば、あっという間にリフトアップ仕様の出来上がりです。
大径タイヤを履けるようにセッティングすればかなりの最低地上高を稼げますし、昔あったピックアップトラック仕様でもなければジムニーであまり荷物を運べない、という問題を解決した “アゲ軽トラ” は、なかなか格好イイものです。
特にスズキ・キャリイやダイハツ・ハイゼットトラックは4WD時の駆動効率に優れたパートタイム4WDを採用していたり、ホンダ・アクティトラックも含めリアにデフロック機構を持っていたり、オプションや社外品で機械式LSDも用意されていますから、見た目や格好だけのリフトアップ仕様軽乗用車では太刀打ちできません。
もちろん、大径タイヤを履いて車高も上げた分だけブレーキの効き具合や重心位置の上昇による走行安定性の悪化などには気を使うでしょうが、レジャー用途に的をしぼれば砂地や荒れ地での走破性は高く、しかも大型のランドクルーザーなどより狭いところへも進入することもでき、かつ荷物もそれなりに積めるとくれば、釣りやアウトドア時に大きな威力を発揮してくれることでしょう。
リフトアップ車のベースにハイゼットジャンボやスーパーキャリイを選べばリクライニング可能で快適、かつ荒れた路面でも体のホールド性が良い名門シートブランドのセミバケットシートなどをインストールすれば、ちょっと贅沢なオフロードバギー的な使い方も可能です。
シンプルなだけに、楽しみ方、遊び方は無限大∞
基本的には、キャビンと荷台以外には何もないという潔いほどの簡素さをもち、エアコンやパワステなど快適装備も充実、AT限定免許派にもうれしいオートマ設定もあり、荷台はフリースペースとして使用できます。しかも、保安基準に違反しない範囲でカスタマイズも堪能できる、積載物扱いの範囲なら何を載せても自由な軽トラは、ユーザー次第で無限の可能性を持った最高のオモチャとして遊び尽くせます!
しかも軽トラとしての機能を残している限り、引っ越しや大きな買い物なども自力でできて便利ですし、登録車(小型車や普通車)のトラックと違って軽トラは2年車検で駐車スペースも取らないので維持管理も楽なので、むしろ今までがレジャー用途に使われなさすぎだったといえるでしょう。
あまり乗せない人や荷物のためにトールワゴンやミニバンを買うなら、定員が2名まででも思い切り遊び回れる軽トラを愛車にして、もっと活用してみませんか?