引用:韋駄天狗

旧車・絶版車購入ガイド | 2021.05.11

「TypeR」とは付かないがほぼTypeR。2代目ホンダ「CR-X」の入手法

Posted by 菅野 直人

かつて最高のスポーツハッチバックとして名高い1980~1990年代のホンダ「シビック」からさらにホイールベースを短縮し軽量化、強力なエンジンによる動力性能のみならず究極の運動性能によって伝説的なマシンとなったホンダ「CR-X」。特にキャッチコピーから「サイバーCR-X」とも呼ばれた2代目は、デビューから30年以上たった現在も一級の戦闘力をもっており、モータースポーツではいまだに第一線で活躍するマシンです。

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ホンダ「CR-X」とは

ホンダの傑作FF小型車「シビック」の4ドアセダン版として登場した「バラード」の2代目モデルの派生として、初代「バラードスポーツCR-X」(通称「バラスポ」)が登場したのは1983年。思い切ってボディ後半をバッサリ断ち切りホイールベースも短縮した、極端なショートボディ・ショートホイールベースの3ドアファストバッククーペで、当初は1.3/1.5リッターのSOHCエンジンを搭載し、軽快でスポーティなパーソナルカーとしての色が濃い車でした。

しかし1984年、ホンダが「S800」の生産終了以来14年ぶりに復活させたDOHCエンジン、1.6リッターの「ZC」を搭載するやいなやスポーツカーとしても開眼し、同じエンジンを積むシビックと同等の動力性能に小型軽量・ショートホイールベースによる運動性能の組み合わせは、シビック以上のスポーツ性を持つと市場から歓迎されました。

もちろん、ショートボディはラゲッジも小さく、後席に至っては「犬もすぐ参る(マイル)」「1マイル(約1.6km)しか耐えられない」などの逸話を元に「ワンマイルシート」と呼ばれるほどの実用性の低さでしたが、そのぶん実用性とスポーツ性を兼ね備えたシビック、スポーツ性やドライバー優先を追求したCR-Xという棲み分けができていました。

そのキャラクターは1987年にモデルチェンジした2代目、キャッチコピーの「サイバー・スポーツ」から通称「サイバーCR-X」とも呼ばれたEF系CR-Xでも健在で、バラスポに追加設定されたのと同じZCエンジンを積んだEF7型はもちろん、1989年に追加された1.6リッター直列4気筒DOHC自然吸気VTECエンジン「B16A」を搭載したEF8型ではさらに動力性能がアップし、最上のCR-Xとなります。

グループAレースのJTC(全日本ツーリングカー選手権)などレースで活躍した当時のシビックに対し、CR-Xは極端なフロントヘビー傾向と軽すぎるほどのテールによるピーキーかつトリッキーな動きで、クルクル回るように走る小回り重視のジムカーナ競技や、高速の直線から一気にタイトコーナーへ飛び込むラリー競技などで大活躍しました。

EF8型発売から30年が経過した2019年現在でもジムカーナ競技のSA1クラスでは第一級の戦闘力を持つマシンとして未だに活躍、同じく古いマシンながら1世代新しいシビック(EG6)などとも互角の戦いを繰り広げており、ただ懐かしいだけでなく強力、そして戦うステージの残された、走りに特化した数少ないマシンとして人気を得ています。

2代目CR-Xの中古車相場

大手中古車検索サイトによると2019年12月現在、2代目EF系CR-Xの中古車相場は以下の通りです。

EF6 CR-X 1.5X系
(1.5リッターSOHCエンジンD15B・販売期間1987年9月~1992年4月)
44.8万円~108万円:2台
EF7 CR-X Si系
(1.6リッターDOHCエンジンZC・販売期間1987年9月~1992年4月)
64.8万円~169万円:8台
EF8 CR-X SiR
(1.6リッターDOHC VTECエンジンB16A・販売期間1989年9月~1992年4月)
88万円~200万円:10台

さすがに約30年選手、それもホンダ車のボディの耐久度があまり高くない時代の車ですから市場に出回る台数は少ないものの、同時期のシビック(EF系”グランドシビック”全グレード合計14台)と比べても多く、実用性の低さから日常用途で使い潰された車が少なかったのかもしれません。

強力なエンジンを積むほど価格が高く流通台数も多い傾向にあり、価格は一見全体的に高めに見えますが、現在同程度の価格で購入できる新車で性能的に拮抗する車が皆無なのを考えれば、スポーツ走行など走り向きの用途に特化すればむしろ買い得感があるとも言えそうです。

2代目CR-XのオススメグレードはパワーのEF8か軽快性のEF7か?

現在でこそ第一線で活躍するのはDOHC VTECのB16A(160馬力)を搭載するEF8型「SiR」に限られますが、1.6リッタークラスのモータースポーツでCR-Xが数多く走っていた頃には通常のDOHCエンジン、ZC(130馬力)を搭載するEF7型「Si」も実力的にはEF8と互角で戦っており、EF8が絶対オススメとも言えません。

なぜなら、可変バルブ機構DOHC VTECを持たないZCを積んだEF7(900kg)は、B16Aを積んだEF8(970kg)より車重が軽く、最大トルク発生回転数もZCの5,700rpmに対しB16Aは7,000rpmと、低速かつタイトコーナーやターンが続くようなステージでは、一概にEF7がEF8に劣るとは言えないからです。

古いDOHC VTECの魅力であるカム切り替え時の爆発的なVTECパワーによる加速をとるか、実用性の高さと低回転から粘り高回転まで突き抜けるZCのフィーリングや、フロントの回頭性など軽快性をとるかは、CR-Xを選ぶ上で難しいポイントです。絶対的な性能を求め、ジムカーナ競技など純粋な勝負に挑むならEF8がオススメとなりますが、そうでないならZCのEF7という選択も悪くありません。

また、「とにかく形から入ってヒラヒラした操縦性を楽しみたい」というならば、流通台数は限られるもののEF6型の1.5X系も捨てがたいものがあります。カタログ上の最高出力こそ105馬力と控えめですが、デュアルキャブレターのD15Bはスペックを問題にするなどバカバカしくなるほど軽快に吹け上がるよいエンジンで、再廉価グレードの1.5Xは車重850kgとEF8より120kgも軽量ですから、通好みの選択をしたい人には是非オススメしたい1台です。

2代目CR-Xの中古車選びの注意点

同時代、1990年代はじめ頃までのホンダ車に共通する弱点としてボディ剛性や耐久性が低く、歪みやすい、緩みやすいといったトラブルがあり、それが古いホンダ車の残存率が低い原因ともされています。

2代目CR-Xもその例外ではなく、ノーマル車ならリヤハッチ、装着車ならサンルーフ周りの雨漏りなどに注意が必要なほか、経年劣化でリヤハッチのダンパーが抜けている場合もあるので、実際に開いて確認するべきポイントです。

さらにUVカットガラス製ルーフの「グラストップ」オプション装着車の場合、ただでさえガラスエリアが広くて高くなりがちな車内温度がより上がりやすいです。特に後席は前上方と後上方からの直射日光で元から最悪な快適性がさらに悪化しますから、後席は荷物置き場程度に考えたほうがよさそう。もし人を後席に乗せるというのであれば、かなり気を使ってあげる必要があるでしょう。

他には活発な走りが信条のFFスポーツゆえ、主にフロントのサスペンションやブッシュ類、ブレーキ周り、ベアリング類、ドライブシャフトやシャフトブーツなど痛みやすい箇所は一通りチェックの上、かなり早い時期に交換するくらいの心がけが大事です。

エンジンはB16Aに関して言えば後にEK4シビックまで搭載されていましたから、VTECのカム切り替えを制御するスプールバルブからのオイル漏れといった弱点に関してもまだ部品は出ますし、最悪載せ替えという選択肢もあります。問題はDOHC版が早めに姿を消してしまったZCの方で、トラブル時は部品の入手が容易でないと考えた方がよいでしょう。内外装部品に関してもまず部品が出ないため、後からの修理はともかく購入時点で極力欠品や要補修箇所の少ないものを選ぶべきです。

2代目CR-Xの中古車の維持費目安

壊れるまで少し楽しむ程度、あるいはファーストカーやゲタ車が別にあって修理のための長期入庫が問題ない環境というのならいいのですが、長く維持していこうとするなら多少程度は悪かろうとも部品取り車やその置き場所を確保する予算は組んでおいたほうがいいでしょう。

自動車税については、全て新規登録から13年以上が経過している重加算税対象のため、1.5リッターエンジンのEF6を除けば総排気量1.5リッター超2.0リッター以下の区分で45,400円。実燃費は10~14km/L程度で、2019年12月現在のハイオクガソリン平均価格が約155円程度として、仮に月1,000km走るならば月13,000円程度のガソリン代がかかり、年間のガソリン代が約16万円に自動車税45,400円を合わせ、最低21万円程度が最低年間維持費の目安でしょう。

車の性格上、サーキットへの往復でもしない限り長距離ドライブ向けではありませんが、ちょうどよいサイズ感から今でも通勤など実用に使いたいユーザーもいるでしょう。その場合は距離がもっと伸びると考え、自分で把握している年間走行距離からガソリン代を試算してみる必要があります。その他、ユーザーの環境次第で変わってくる購入後の駐車場代やタイヤ代、車検代や整備代、任意保険代などは各自計算してみてください。

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