買取相場 | 2023.06.29
本格派軽スポーツのS660。査定に出すとどのように評価されるのか?
Posted by UruCar
ホンダ S660(エスロクロクマル)は、軽規格内ではビート以来となる本格オープンスポーツカーです。 現在、軽規格以外を見渡しても国内ではスポーツカー、オープンカーの製造は決して積極的とは言えません。 そんな中、2015年からホンダが世の中に送り出しているのがS660です。 やはり走りにこだわりのあるホンダらしく、ミッドシップにエンジンを置き、もちろん後輪駆動。 クロスレシオのMTトランスミッションも選べ、乗り手の高揚感をさらに高める吸排気音のチューニングまで施した、まさに『本格的』なスポーツカーなのです。
以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください
SUMMARY
S660の中古市場での人気について
S660は、軽規格でのオープンスポーツを考える方にとっては、新車ですと国内にライバルがダイハツのコペンしか存在しません。
中古市場には、名車とも言えるスズキのカプチーノやホンダビートが確かに存在をしますが、車齢を考えると玄人向きのモデルとなることも否めません。
以上のことから、軽スポーツというジャンルにおいて、S660はかなり優位な地位を築いています。
傾向としてはピュアにスポーツ性を体感したい方がS660を選択される傾向が強く、コアなファン層に受けがよいことと、発売より6年しか経過していないことから、人気も買取価格も高止まり傾向といえるでしょう。
買取査定額が期待できるS660の人気グレード
S660は、ベーシックなβと、本革巻きステアリングやクルーズコントロールなどが装備されたαの、基本的には2つのグレード展開となっており、2018年にモデューロXというグレードが新設されています。
その他は、特別仕様車が数種類リリースされただけとなりますので、非常にわかりやすいグレード体系であるといえます。
この中では、やはりαが量販グレードとなり、流通量も豊富なため一定以上の査定が期待できますし、モデューロXでは新車価格が一般乗用車以上であり、高価格帯のモデルかつ希少車なため、査定金額は落ちにくい傾向です。
買取査定額が期待できるS660の人気カラー
豊富なカラーバリエーションをS660は持っており、買取価格差が生まれにくいのが特徴のモデルです。強いて人気色を挙げるならば、ナイトホークブラックパール、プレミアムスターホワイトパール、その他往年の名車であるビートを彷彿とさせるカーニバルイエローⅡが人気色となりますが、査定価格差は2万円~4万円程と小幅な値動きですので、是非お気に入りのカラーで乗りこなしたい一台です。
2年落ちS660(2021年式)の目安査定額
2年落ち2021年式のS660は、2022年3月で生産終了と発表、3月に最後の特別仕様車、「モデューロXバージョンZ」が発売されたモデルで、発表とともに殺到した注文に追加生産で対応するなど、1990年代のビート以来、久々に復活したホンダのミッドシップ軽スポーツの最後を飾りました。
買取市場でも1年前と比べ平均買取価格で70万円以上、リセールバリュー(平均残価率)でも約12%も上昇する人気の過熱ぶりで、今後は騒音規制との兼ね合いもあり、ホンダや他メーカーでも同様のミッドシップ軽スポーツを発売する可能性は、ずっと先のBEV(バッテリーのみで走る電気自動車)時代まで、かなり低いと言わざるをえません。
そのため社会情勢の影響で急騰している他の中古車と事情が異なり、今後も世情はどうあれ値上がりし続けることは避けられず、程度良好であれば、いずれリセールバリューが100%を超える日が来そうです。「オプション込みでおおよその新車価格」と2023年6月現在での平均買取相場は、以下のようになります。
β | 新車223万円/買取実績なし |
α | 新車255万円/買取価格163万円程度 |
モデューロX | 新車334万円/買取価格273万円程度 |
モデューロX バージョンZ | 新車347万円/買取実績なし |
S660・平均買取価格:約218万円
S660・平均残価率:約73%
3年落ちS660(2020年式)の目安査定額
3年落ちS660は、2020年1月のマイナーチェンジでフロントピラーのボディ同色化、アルミホイールを新デザインへ変更、新ボディカラー追加、「α」グレードのシート表皮アクセント変更とシートヒーター強化、「モデューロX」グレードのインテリアにアルカンターラ使用範囲拡大などの変更を受けました。
その後、2021年3月に「2022年3月での生産終了」を発表、直後に生産予定分の完売を発表して販売終了しており、後継車の予定なども一切発表がないことから、「最後の純ガソリン軽ミッドシップスポーツ」となる可能性が高く、今後は買取査定の相場高騰も予想されます。「オプション込みでおおよその新車価格」と2023年6月現在での平均買取相場は、以下のようになります。
β | 新車223万円/買取価格130万円程度 |
α | 新車250万円/買取価格160万円程度 |
α トラッドレザーエディション | 新車255万円/買取実績なし |
モデューロX | 新車327万円/買取実績なし |
平均買取価格:約145万円
平均残価率:約61%
4年落ちS660(2019年式)の目安査定額
2019年式S660は、2020年1月にマイナーチェンジを受ける前のモデルですが、内外装のデザイン変更やシートヒーター追加といった小改良がある程度で、走りに関しては2015年4月の発売時から大きな変更はありません。
基本的なラインナップは、標準グレード「β(ベータ)」、装備充実版「α(アルファ)」のほか、2018年7月に追加された専用空力パーツや専用サスペンションで走りとデザインの質感を高めた「モデューロX」と、2018年12月にライトタン×ブラックのトラッドレザーインテリアなど内外装充実版の特別仕様車「α トラッドレザーエディション」があります。オプション込みで、おおよその新車価格と2023年6月現在での平均買取相場は、以下のようになります。
β(6MT/CVT) | 新車220万円/買取実績なし |
α(6MT/CVT) | 新車243万円/買取価格131万円程度 |
α トラッドレザーエディション(6MT/CVT) | 新車253万円/買取実績なし |
モデューロX(6MT/CVT) | 新車316万円/買取実績なし |
5年落ちS660(2018年式)の目安査定額
5年落ち2018年式S660は、1990年代に販売されていた軽ミッドシップ・オープンスポーツのビートや、1960年代の「S」シリーズオープンスポーツの再ライトして、2015年に発売された、ミッドシップ・オープンスポーツの4年目モデル。
それ自体が特殊なモデルのため、発売から2021年12月の販売終了まで大きな変更はなかったものの、2018年式では2017年6月の特別仕様車「αブルーノレザーエディション」、同11月の「β #コモレビエディション」が発売されたほか、2018年7月にはエアロバージョンの「モデューロX」が追加されています。
一時は、中古車価格の高騰でリセールバリューも高いモデルでしたが、現実はかなり落ち着き、あまり希少性の高い趣味車という扱いはされていません。「オプション込みでおおよその新車価格」と、2023年6月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。
β:新車218万円/買取価格109万円程度
β #コモレビエディション:新車229万円/買取実績なし
α:新車240万円/買取価格116万円程度
α ブルーノレザーエディション:新車251万円/買取価格96万円程度
α トラッドレザーエディション:新車251万円/買取実績なし
モデューロX:新車314万円/買取価格166万円程度
平均買取価格:約122万円
平均残価率:約47%
6年落ちS660(2017年式)の目安査定額
2017年式S660は、2017年6月にブラックのドアミラーやアルミホイール、ジャズブラウンインテリアなど内外装充実版の特別仕様車「α ブルーノレザーエディション」を、同11月には「β」のCVT車をベースに専用ボディカラー「ヒダマリアイボリー・パール」やブラウンルーフトップ、ライトタンインテリアなど専用内外装の特別仕様車「β #(ハッシュタグ)コモレビエディション」を発売したモデルです。オプション込みでおおよその新車価格と2023年6月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。
β(6MT/CVT) | 新車218万円/買取価格80万円程度 |
β#コモレビエディション(CVT) | 新車229万円/買取実績なし |
α(6MT/CVT) | 新車240万円/買取価格116万円程度 |
α ブルーノレザーエディション(6MT/CVT) | 新車251万円/買取価格127万円程度 |
7年落ちS660(2016年式)の目安査定額
7年落ち2016年式S660は、ホンダが若手スタッフを中心に開発、2015年4月に発売された660ccターボ+6速MT(CVTもあり)のミッドシップ・オープンスポーツの2年目モデル。
初期には東京モータショー2013出展時のショーモデルをモチーフにした特別仕様車、「コンセプトエディション」も販売されましたが、2016年式では基本的にベーシックグレードの「β」と上級グレードの「α)のみとなっており、発売時からの変更は特にありません。
一時は中古車価格と買取相場も高騰しましたが、新型コロナウイルス禍の落ち着きとともに「資産」的な扱いが1990年代以前の古い名車や、新しくとも特別な限定車に限られるようになってくると、現在はその反動もあってかだいぶ落ち着いています。「オプション込みでおおよその新車価格」と2023年6月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。
β:新車218万円/買取価格92万円程度
α:新車240万円/買取価格109万円程度
平均買取価格:約100万円
平均残価率:約44%
事故車・修復歴ありのS660の場合は?
修復歴がある自動車は、基本的に買取値で考えると、修復歴の無い車の65%~70%の減算といわれており、S660はどの年式で考えても概ね80万円~100万円前後での買取が期待値となるでしょう。
エアバッグ展開済み事故現状車の場合でも、40万円ほどの買取価格がついたデータもありますので、現状かなり価値のあるモデルであることは間違いありません。
S660の残価率・リセールバリューは?
買取価格の減算から見ていくと、一年目の減額は大きいもののその後は安定した、かなり横ばい傾向の強いモデルであることがわかりました。
現在、日本国内でスポーツカー・オープンカーの需要がかなり苦しい状況にある中、本格的軽スポーツであるS660は、価値が高く残る傾向にあるモデルです。
具体的には、1年落ちのαグレードですと、新車価格は¥2,185,920で、仮に10%程のオプションを加味したとすると、約240万円の車ということになります。登録後1年での最高買取価格は168万円で、つまり残価率は68%~70%程の数値となります。これは国産軽としては平均位の評価ですが、スポーツカーとしての評価と考えれば及第点です。
さらに、その後データでは年次償却が極めて少なく、2・3・4年目の残価率は横ばいに近いので、中間評価の査定額120万円で考えると、残価率はちょうど50%で、幅を見ても46%~50%前後の残価値があります。
つまり、国産自動車くくりで考えると残価値は平均並で、軽スポーツカーと考えるとリセールはまずまずの評価となりそうです。
現在の日本国内では選択肢の非常に少ない軽規格スポーツ。維持が楽で取り回しも良く、踏み切れるパワーな上に本格的なMRレイアウトと魅力のいっぱいのS660。ファーストカー使用はなかなかに難しいパッケージングとなりますが、セカンドカーとしての使用では日々の刺激と充足感が、オープンにして走れば季節の空気と匂いを感じることのできる、良き相棒でしょう。
そんな車との離れは悲しいものですが、初回車検前後でのお別れが残価値の面ではおすすめです。
S660はデータ上そこまで値崩れは少ないものの、確実に日々減額はされていきます。一年目をまたいでしまったならば、早い査定がおすすめです。
ホンダ「S660」を高く売るためのポイント
S660の原点ともいえる1990年代の「ビート」に比べれば、電子制御による安定感が増し、2ペダルのCVT車も用意され、低回転から大トルクを発生する0.66リッター直列3気筒ガソリンターボエンジン「S07A」の恩恵でかなり速く乗りやすい車になっていますが、基本的に玄人志向のミッドシップスポーツなのでスポーツ走行におけるスピン事故はもちろん、ちょっとした傷でも大きなマイナスポイントになります。
また、スポーツカーなので社外品のホイールやパーツ装着は必ずしもマイナスになりませんが、ホイールやエアロなどデザインが重要なパーツではセンスが、車内の追加メーターや電装品は配線などの仕上がりの良さが求められるため、カスタマイズを行うならばトータルバランス重視、仕上がりの粗いところは見せないといった工夫が重要です。
さらに、S660はフルオープンカーではなくタルガトップオープンカーですが、それゆえボディとトップとの継ぎ目は通常のオープンカーのように前部(フロントガラス部)だけでなく後部にもありますので、前後どちらからも雨漏りなどがないか、チェックしておきましょう。
ホンダ「S660」の走行距離による値動きの変化
2023年6月現在におけるS660の走行距離ごと買取相場は、以下の通りです。
●9万km台:69.5万円~69.5万円
●8万km台:69.5万円~69.5万円
●7万km台:82.8万円~82.8万円
●6万km台:84.8万円~113.6万円
●5万km台:68.5万円~110.6万円
●4万km台:80.8万円~120.0万円
●3万km台:76.8万円~134.2万円
●2万km台:78.6万円~149.7万円
●1万km台:82.0万円~143.4万円
ただし新車価格が高額な「モデューロX」のみ別格で、2万km台なら195.4万円、1万km台なら180.4万円~196.4万円となっています。
それを除けば単純に走行距離というより「α」や特別仕様車なら比較的高額、「β」なら安いというパターンが多いものの、傾向としては7万km台に入ると買い取り上限額が大きく下がるようです。
ホンダ「S660」を売るのにベストなタイミングは?
発売直後は“ビートの再来”と話題になり、1日の生産台数の少なさから初期受注をさばくのにかなり時間がかかったS660ですが、さすがに発売から5年近くが経つと落ち着き、安価な中古車も出回るようになってきました。
買取市場での残価率を見ても、2年落ち(2019年式)こそ平均残価率54%で趣味車としては飛び抜けた数値ではありませんが、5年落ち(2017年式)と6年落ち(2016年式)ではそろって45%を維持するなど、「多少年式が落ちても価値が落ちにくい趣味車」としての本領を発揮中です。
ただし高い残価率を維持しているのは装備充実グレード「α」や、純正コンプリートカー「モデューロX」、あるいは無限仕様「S660 MUGEN RA」など社外コンプリートカーなどの話で、標準グレード「β」は常に「α」などより残価率が少々落ちるため、「価値が下がるのが早いので乗り換えよう」というユーザーがβに乗っているならば、積極的に買取査定をオススメします。β以外のユーザーならば、単純に走行距離が5万km前後、6万kmに入る前に売却を検討する、くらいのタイミングがよいのではないでしょうか。