インタビュー | 2021.05.11

人間と車を守るパーツ開発という信念!GRヤリスにも力を入れる競技用品・部品メーカー「エイチ・ピー・アイ」とは?

Posted by UruCar

自動車用部品・用品メーカーで、自社オンラインサイトによる直販も手掛ける株式会社HPI(エイチ・ピー・アイ)は、現在レーシングスーツ、レーシングハーネスなどの競技用品を筆頭に、ラジエターやオイルクーラー等の冷却用品、特許も取得したフロアバーに力を入れています。主力商品の特徴や開発経緯について、HPI様(以下、敬称略)にお話を伺ってみました。

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1998年創業の自動車部品・用品メーカー、「エイチ・ピー・アイ(HPI)」

1970年代からレースへ参戦、1985年にはN2仕様のAE86カローラレビンでトヨタグランドカップレース(CSGC)を制するなど、順調にステップアップして、グループAツーリングカーレースでは1990年代はじめまで現役ドライバー、その後もル・マン24時間レース参戦チームの監督などを努めた人見 隆作氏が代表を務める株式会社エイチ・ピー・アイ(東京都江戸川区)。

1998年6月に創業後、2000年代にはNISMOと正規代理店契約締結、D1グランプリ初参戦と業務拡大を進め、2010年代には東京オートサロンや大阪オートメッセなどへ初出展後、クーリングパーツブランド「EVOLVE」や、モータースポーツ用品など競技製品ブランド「Competition Gear」を立ち上げるなど、順調に事業を拡大してきました。

2020年には、江戸川区の産業賞・優良企業を受賞するなど、着実に力をつけつつある同社の得意分野は、レーシングスーツ、レーシングハーネス等の競技用品や、ラジエター、オイルクーラー等の冷却系製品、そして2015年8月には特許(特許第5792371号)を取得したフロアバーです。

今回は、それらの力を入れている製品群の特徴や開発経緯、今後の展望についてお話を伺いました。

ユーザーのニーズに合わせてラインナップ豊富なFIA公認競技用品

ー製品ラインナップの中で、特にPRに力を入れているというレーシングスーツ、レーシングハーネス等の競技用品について、特徴などをお教えいただけますでしょうか?

HPI:
「レーシングスーツ、レーシングハーネス等の競技用品は、シーズン開幕直前ということもあり、FIA公認の各競技用品をそろえており、お買い求めやすい価格のレーシングスーツから高性能レーシングスーツ、レーシングハーネスは好みや車両カラーリングにより選べる全11色などお客さまのニーズに合わせられるよう、ラインナップしております。」

HPIの企業理念には、代表の人見氏の豊富な経験、レース活動やドリフト活動で積み上げた実績を元に、サーキット走行を安全に楽しむための「人間と車を守るパーツの開発こそが信念」と記されています。

力を入れている商品で「競技用品」を第一に挙げたところからも、まずはユーザー目線でモータースポーツへ参加する人間の安全を第一に考えている姿勢が伺えます。

その中でもレーシングスーツや4点・6点式およびFHR(頭頚部保護)システム対応のレーシングハーネス(スポーツ走行用のシートベルト)、火災などから身を守るアンダーウェアやレーシングフェイスマスク、正確なドライビングに欠かせないレーシンググローブやレーシングシューズなどを豊富にラインナップ。

これら安全に係る製品は、公式モータースポーツイベントに参戦するユーザーをターゲットとしたFIA公認製品で固められており、リーズナブルなものから高性能品まで揃えているほか、配色やロゴをオーダー可能な特注レーシングスーツや、11色から選べるハーネスなど、参戦車両のカラーリングとのコーディネートにも柔軟に対応できます。

春先のモータースポーツシーズン開幕直前には、多様な品揃えでユーザーの要望に対応可能な体制をとっており、ドライバー自身の安全性やドレスアップ強化に頼れるメーカーです。

今後のイチオシは最新鋭のGRヤリス! 各種冷却系製品で車を守る!

ー続いて、ラジエターやオイルクーラー等の貴社ラインナップの冷却製品についてお教えいただけますでしょうか?

HPI:
「ラジエター、オイルクーラー等の冷却製品については、徐々に気候が暖かくなってきていることもあり、各種冷却製品を準備し、新製品としては話題のGRヤリス製品を開発中で、各専用の冷却製品を近日追加ラインナップできるかと思います。」

続いて力を入れているのは、モータースポーツ走行の激しいストレスから車を守るのに重要な冷却系パーツです。

「EVOLVE」シリーズのラジエターはマイクロピッチ仕様のアウターフィンでコアチューブ本数20%アップさせ、冷却性能を格段に向上して冷却を極めた逸品!

特にストレスの割にスピード域が低く、十分な冷気を得るのが難しいドリフト競技向けにはハードユース向けの「EVOLVE STD」タイプ、ライトユースのサーキット走行向け「EVOLVEライトSH」、ダブル&トリプルターン水流方式でレースユースを視野に入れた「EVOLVEマルチフロー(サイドタンクシリーズ)」の3つをラインナップしています。

高性能なだけでなく、高品質アルミ材質の仕様によるさらなる高性能化、高品質化に力を入れているほか、車種別ラジエーターデータとしてラジエーターのサイズや重量、片寄り冷却を防ぐコントロールプレート装着の有無を公開しており、ラジエター選びで大いに参考になりそうです。

各種オイルクーラーも「EVOLVE」ブランドで統一されており、満足のいく冷却を追求するためタービュレーターインナーフィンとウエーブアウターフィンを採用したのが「EVOLVE」独自のコンセプト。
近年は冷却製品だけにとどまらずHPIのチューニングパーツブランド「EVOLVE」として展開している。

オイル容量を確保するサイドタンク式コア、オイルの流れをスムーズにして効率よく冷却する非対称ポートを採用したサイドタンクタイプをはじめ、車種専用品から汎用品まで豊富に揃えています。

HPIの冷却系で現在もっとも力を入れているのがトヨタの最新鋭4WDターボマシン「GRヤリス」で、昨年後半よりテスト的な参戦は始まっているものの、本格的な参戦が始まり台数も増える2021年シーズンへ向け新製品を鋭意開発中で、シーズン中に随時発売されていく見込みですから、GRヤリスユーザーは車両開発段階で積極的にチェックしていくべきでしょう。

特許も取ったフロアバーは、車両剛性アップと車両無加工でハーネス取付可能な一石二鳥!

ー貴社ラインナップのフロアバーについてもお教えいただけますでしょうか?

HPI:
「フロアバーは車両剛性アップと6点式ベルトを車両無加工で取付可能というのが売りで、車両価値を下げることなくベルトを取り付けることができます。最近は車両加工を敬遠したいお客さまも多く、今後も各車種ラインナップを増やしたいですね。」

3つ目に力を入れている製品として名前の挙がった「フロアバー」ですが、これは単なるボディ剛性アップ用パーツにとどまりません。

なんと4点式や6点式レーシングハーネスの装着部材を兼ねており、車体に穴空け加工を行うことなくハーネスを装着可能とした上で、ボディ剛性アップにも貢献するという一石二鳥の優れもの!

詳細はHPIが取得した特許第5792371号(https://patents.google.com/patent/JP5792371B1/ja)を参照してもらうとわかりますが、前席シートのフロア固定部後方中央側ボルト、および純正3点式シートベルトの車体フロア側固定部ボルトに共締め可能なステーと、両者を一体的に接続補強しつつ、ハーネスのアイボルト用ネジ穴を備えたフロアバーです。

くたびれた中古車ベースであればともかく、まだ新品、あるいは真新しい車両の床に穴空け加工を行い、車両価値を損ねてしまうのは、モータースポーツ参戦における地味な、しかし高いハードルのひとつですが、その解決方法をボディ補強パーツを兼ねつつ実現してしまった、というのがポイントです。

何しろ最近は自動車の高価格化が進み、特にかつてのように需要が旺盛でなく、少数の趣味性が高い車を好むユーザーに支えられるばかりのスポーツタイプの車は、一昔前であれば中古のスーパーカーばりの高価格帯で販売されていることも少なくないため、そうしたユーザーがいくら安全のためとはいえ、車両の穴開け加工に二の足を踏むことは多いそうです。

そこに目をつけたHPIが狙った一石二鳥パーツのフロアバーは、今後一層注目されていくパーツなのは間違いありません。

なお、特許取得しているとはいえ、類似品はやはり存在するようですが、似たようなパーツでもレースなどモータースポーツイベントで、「HPI製のフロアバーを使用し(4点式以上のシートベルトを)取り付けることも可能とする」としているレギュレーション(規則)となっている場合もあり、今後もスタンダードになっていく可能性があります。

現在でも軽スポーツからGT-RやIS-Fなど重量級ハイパワーマシンまで、変わったところではアクアなどハイブリッドカーまで適用車種が拡大していますが、HPIでは今後も車種ラインナップ拡大に前向きな姿勢を示しており、現在ラインナップにない車種のユーザーは、HPIへ積極的に働きかけていくのがオススメです。

今後もSNSなどの活用で、ユーザーの声を新製品開発に反映させていきたい!

ー今後提供していきたいとお考えの商品や、開発・広報に注力していくご意向のある分野についてお教えいただけますでしょうか?

HPI:
「近々は競技用品、春先には各種冷却製品、夏場にはクールベスト等と幅広く展開していきたいと思います。ツイッター等のSNSを活用しお客さまの生の声を聞き、新製品開発を検討していきたいと考えてます。」

HPIでは、シーズン開幕を控えた時期には競技用品や冷却系製品、さらに暑さの激しい夏場には熱中症対策で水冷式クールベスト(特許出願中)やクールシート、冷却水循環チラーシステムの販売に力を入れる意向です。

クールベストなど熱中症対策製品は、レーシングカーのみならず、重機や建機など工事/作業現場、医療や介護でも応用可能なことから、今後はモータースポーツ以外の分野でもHPIの名を聞く機会が出てくるかもしれません。

また、twitterアカウント(@HPI__official)などSNSアカウントも有効に使い、ユーザーから生の声を聞いて新商品開発に反映していきたい、と意気込んでおり、「こんなパーツを出してくれるとカユイところに手が届きます!」「自分の車にもこの製品を適合させて!」という要望を、HPIへどんどん送りましょう!

モータースポーツは、スタートしてどんなに速く走ったところで、最終的にゴールできねば報われない、という意味では陸上競技などと何ら変わることはありません。

性能やドレスアップ面のコーディネートだけでなく、安全と安心、そして最後にゴールへたどりつくための力を重視する株式会社HPIは、確実に成績を残したいユーザーであれば赤丸要チェックです!

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